第2章 興味本位
腕の中には真っ赤な顔をしたままそれを隠そうと手で覆うほの花の姿。
流石の俺も考え無しに嫁入り前の娘に随分と過激なことをしてしまったのかと居た堪れない。
しかし、そんな彼女を見て笑いを堪えている三人の野郎どもを見ると、そこまで悪いことをしたわけでもないのかという気にもさせる。
「宇髄様、お気になさらないでください。ほの花様は男性に免疫がないだけですので。」
「あー…そうか。驚かせて悪かったな。」
「い、いえ…?すみません…!」
一人の男が笑いながらそう言ったので、嫌なわけではないということが分かり、一先ずほの花に詫びを入れたがブンブンと首を振り益々顔を赤くした。
「…どんだけ真っ赤になるんだ。林檎みてぇだぞ。」
「く、…っぶふ…、す、すみません…!宇髄様、宜しければ代わります…!うちのほの花様がすみません。」
そう言ってその男が一歩踏み出し、手を差し出してきたが、"うちのほの花様"という言い方に何故だかカチンきて、彼女を腕に収めたまま歩き出す。
「いや、構わねぇよ。行くぞ。」
「?そうですか?承知しました。」
頑なにほの花を渡そうとしない自分に不思議そうな顔をされたが、体調不良の継子の面倒を見るのは当然のことだと自分に言い聞かせた。
邪な気持ちなどない。
少しだけ速度を速めるが、後ろの三人はきっちり付いてくるということは彼らも十分に戦えるだけの能力があるということか。
鬼殺隊の戦力が増えることは柱としても有難い限りだ。
「あの…。宇髄、さん。」
「あ?何だ。」
「重くない、ですか?ご迷惑ばかりおかけして申し訳ありません。」
ほの花が謝っているのはいま運ばれていることだけでないだろう。"出会って三秒嘔吐事件"のことも言っているのだろうがこちらをチラリと見上げる視線にまたドクンと心臓が拍動した。
それに気づかないフリをすると彼女から視線を外し、前を向いた。