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陽だまりの先へ【鬼滅の刃/音夢💎】R指定有

第48章 【番外編】宇髄家のこんな一日



「正宗ーー!!天元ーー!!すぐ来てーー!!」

屋敷中に響き渡るほの花の声に居間で既に酒盛りを始めていた天元と正宗は顔を見合わせた。
しかもその声が切羽詰まったような声色だったから。

慌てて猪口を置いて、炊事場まで駆けつけると勝手口の外でほの花が雛鶴の体を支えている。
その様子を見た正宗がすぐに隣に寄り添い、声をかけた。


「…っ、雛…!?ほの花様、どういうことですか?!」

「まだ分かんないよ。とにかく部屋に寝かせてあげて。すぐに診察の準備して行くから。」

「…分かりました。」


こういう時、意外にもほの花は冷静だ。
やはり医療者である彼女からすれば病人を見るのは手慣れている。


「天元、須磨ちゃんが大進と部屋にいると思うからか呼んできて。ちょっと食事の支度代わってもらいたい。あと少しなんだけどね。」

「ああ、分かった。すぐに呼んでくるわ。……乳繰り合ってたらどうしたらいい?」

「っ、こ、こんな時間から盛る人なんて天元以外にいないってばー!!」

「は!?そんなわけねぇだろ?!好きな女目の前にして…」

「ふざけてないで早く行ってきてーー!!」


天元からしたらふざけていたわけではないのだが、こういう時にうっかりほの花に逆らおうものならば夜のお預けを喰らうのは目に見えている。

渋々、大進と須磨の部屋に向かった天元を見送るといの一番に自分の部屋に行き、診察道具を一式持つと正宗と雛鶴の部屋に駆けつける。


先ほど体に触れていたが、特に熱があるわけではなさそうだった。
微熱程度はあるかもしれないが、倒れるほどの熱ではない。
しかし、口元を押さえているその様子から察することができるのは…


「雛ちゃん、気持ち悪い?」


吐き気を催しているということ。


「…っ、う、ん…。」

「ちょっと脈見るね?」


脈診でわかることは複数ある。
見たところ熱もなくて、風邪症状はなさそうなので、ほの花は雛鶴の手首を掴み、脈を見る。

「ほの花様、雛は…どこが悪いんですか?」

「今それを見てるのー。」

「病ならば早く薬を処方してください。何かすることは?」

「うるさーーい!!脈見てるって言ってんでしょ?!」


気が散ってちっとも脈が見れないことに怒り出したほの花に漸く正宗も口を噤んだ。

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