第47章 【番外編】貴方とならばどこへでも※
「あ、っつーい……」
「悪かったって。」
「湯船…温泉…浸かったままとか…逆上せる…。」
ほの花に止められたこともあり、一回で我慢した俺だが、結局宿に着いたばかりで一発部屋風呂でガッツいてしまった。
後悔はしていないが、目の前のほの花が熱った顔してぽやーっとしているので団扇で仰いでやった。
「…もう、そこのお風呂ではヤらないからね…。」
「………ん?」
「返事は?天元。私、大浴場ってとこにも行ってみたいんだもん。」
「…はい。」
そういえば、コイツと恋仲になったばかりの時、初めて行った温泉で部屋風呂で抱いて、布団でも抱いて腰砕にしたせいで大浴場に行けなかったことを責められたことをいま思い出した。
このまま部屋の風呂だけでまたも腰砕にしたら今度は1ヶ月ほどガチの禁欲生活を余儀なくされるかもしれない。
「いい?夜は絶対に大浴場に行くんだから!」
「分かった分かった。行こうな?」
「うん!約束ね?」
指切りげんまんと言わんばかりに小指を差し出してくるので自分のものと絡ませてやる。
確かにほの花は箱入り娘で旅行という旅行はしたこともない奴だし、いろんなものが物珍しいのは仕方ないこと。
浴衣から覗く桃色に上気した肌がどうも煽情的に映るのは先ほどまでヤっていたからだ。
一度は吐精したのだから落ち着いてほしいのだが、俺の性欲はほの花相手だとどうも止まることを知らない。
暑いからと言って髪をかき上げる様子すら息を呑むほど美しく感じる。
「なぁ。大浴場行くのに浴衣で行くのか?」
「え?浴衣で行くって書いてあったよ。ここに!」
ほの花が手にしていたのは旅館の手引きのような冊子。
確かにそれが暗黙のしきたりのようなものだが、混浴ではないにせよ多くの男も行き交うそこにあのクソ可愛いほの花が歩いていたら鴨がネギ背負って歩いてるようなもんだ。
しかも、無自覚なところがまた困った奴なのだ。
そこがいいところでもあるのだが、夫としては心配も絶えない。