第47章 【番外編】貴方とならばどこへでも※
「疲れてないか?」
「う、うん。」
「目眩はしないか?熱は?」
「だ、、大丈夫…。」
「そろそろ休むか?!そうだ、あの木陰で。大丈夫だ、今の時期蝉はいねぇ!」
「…あ、あの……少し前に休憩したばかり、なんだけど…?」
「ん?」
このやりとりかれこれ10回以上繰り返している。
家だとここまで心配されていないが、やはり遠出が久々だからか、15分ごとくらいにこのやりとりをしているのではないかと思う。
歩く速度も私に合わせてくれているが、途中で何度か抱き上げてくれて有り難いのだが……
「私、歩けるから抱っこはしなくていいよ?」
「は?何で?!」
「だ、だって…!は、は、恥ずかしいじゃん…!!」
「……また体裁か…。お前な、体と体裁どっちが大事なんだ?!」
「体調が悪くなかったら体裁。」
「はぁーーー?!」
天元が心配してくれているのはわかる。
それだけ体調が安定しなかったのは事実なのだから間違ってはいないのだ。
でも、だとしてもこの過保護ぶりは如何なものか。
「だってー…本当に疲れてるなら分かるけど、全然大丈夫なんだもん。自分の足で歩きたいよー。」
「……そんなこと言ってあっちで熱出したらどうすんだよ。」
「それは…申し訳、ないけど…多分大丈夫だと思うよ。最近すごく調子が良いもん。」
私の言い分は本当だ。
最近の体調は頗る良くて、滅多に熱なんて出さない。
だからこそ天元だって旅行に行こうと言い出したのに、何故ここまで心配するのか理解に苦しむ。
「…温泉あるらしいぞ。」
「そうなの?!やったー!疲れも取れるね〜。」
「温泉と言えば一緒に入るだろ?」
「…え?別でもいい、けど…。」
「入るだろ?!入るよな?!」
圧強めに詰め寄られるのでチラッと天元を見ればそれはそれは真剣な表情。
どうしたと言うのか?
温泉に一緒に入りたいと言うこと?
わけがわからず天元の言葉の続きを待つために首を傾げるとため息を吐き、話し始めた。
「あのな、一緒に入ったら俺は我慢できねぇからよ。頼むからヤる体力残しと…」
「公衆の面前で破廉恥なこと言わないでーーーー!!?」
「何でだよ!?死活問題だろ?!」
彼の過保護の意味が理解できると顔を引き攣らせたのは間違いなく私だけ。
天元に私のため息の意図は伝わらないだろう。