第47章 【番外編】貴方とならばどこへでも※
「了解。んじゃ、行ってみるわ。」
「ああ。母さんによろしく。」
「おお。お前、こはるといちゃこらすんなよ。まだ嫁入り前なんだからよ。」
「は、ぁ?!な、!お、俺はべつに!!こはるのことなんて!い、いも、妹みたいなもんだ!!!うっせぇ、おっさん!!」
漸く腕から下ろしてくれた天元にホッとしたら、琥太郎くんへの発言に私は目を瞬かせた。
「え?!ええ?!こ、琥太郎くんとこはるちゃんって…そ、そういう関係なの?!…やだぁ。おめでとう…。」
「ちっがーーーう!!おっさんが勝手に言ってるだけだっつーの!こはるは…!」
「こはるは可愛いよなぁ?小さくて守ってやりたくなる小動物系だもんなぁ?」
「そ、れ…は、そう、だけど…。」
どんどん真っ赤に染まっていく琥太郎くんに天元と顔を見合わせて笑ってしまう。
そうだよね。
琥太郎くんも年頃の男の子。
好きな女の子くらいできるだろう。
それにしても天元の発言はあまりに煽っているのであとから注意しなければ。
いつでもどこでも盛っている天元と琥太郎くんではわけが違うのだ。
「好きな女は自分で守ってやれよ。せっかく俺が直々に稽古つけてやったんだから。」
「わかってる!…こはるは、俺が守る…、あー!もうさっさと行けよ。俺は用事があるんだ!」
「はいはい。分かったって。じゃあ行くか。ほの花。俺の可愛い奥さん。」
「は、はぁ、…。」
フフンと見せつけるように私の腰を抱いた天元は琥太郎くんにニヤリと笑いかける。
こういうところ本当に大人げないけど、なんだかんだでこの二人は仲が良い。
年齢差はあるけど、兄弟みたいに見える。
天元が元々長兄で面倒見の良さがあったからだとは思うが、そういうところもあるから炭治郎達にも頼りにされているのだろう。
繋がれた手はもうほとんど前と変わらない。
無我夢中であまり記憶はないけど、この手を私が治癒力を使って治したのは天元も知っていること。
私の記憶が戻ってから天元にはこっぴどく怒られて、しのぶさんやら他の人にも本当に心配かけてしまったけど、彼と繋げるこの手が私にとって何よりも安心できるものに変わりはない。