第47章 【番外編】貴方とならばどこへでも※
「琥太郎くんーーー!!」
しばらく寝込んでいた私は琥太郎くんと会うことはおろか、外に出ることも凄く減ってしまったので会うのはもちろん久しぶり。
すっかり背は伸びて、私と同じくらいになって、顔も精悍だ。
きっと女の子にモテるんだろうなぁと簡単に予測がつく。
あまりに久しぶりで嬉しくなった私は思わず琥太郎くんに抱きつこうと両手を広げて走っていくが秒で後ろから抱えられると、そこは天元の腕の中。
「…て、天元…。」
「俺以外の男に抱きつこうだなんてもちろんしてないよなぁ?ほの花。な?気のせいだよな?」
「…し、シテマセン…キノセイダヨ…。」
「それなら良いけどよ。」
「二人とも相変わらずだな、本当に。ほの花は体良いのか?宇髄さんからチラッと聞いてる。」
私たちの会話に昔のようにサラッと入ってきた琥太郎くんの話から天元が私のことを話してくれていたことを知る。
自分が寝込んでいたとしても天元は元気なのだから外に出かけていることもあった。
その帰りにお土産を買ってきてくれたりもしたけど、その間に琥太郎くんと会っていたとしてもおかしくはないだろう。
「あ、う、うん!もう大丈夫…!だよね…?」
自分のことなのだが、いまいち自分よりも天元の方が体のことを把握しているのは否めない。
朝起きて顔色がいいとか悪いとか、熱があるやらないやら何もかも分かっていて、元気がなければすぐに布団に戻される。
そんな生活をしばらく続けていると、天元への絶対的信頼は揺らがぬ確かなものとなっていた。
「まぁ、あんまり無茶はできねぇけどよ。普通の生活はできるぜ。相変わらず美人だろ?俺の女は!」
「ああ、うん。そうだな。とりあえず良くなったなら良かった。」
「はぁ?てめぇ、俺の女を可愛いとか言っておかずにすんなよ?!」
「してねぇわ!!相変わらずだな、おっさん!」
もう突っ込む気すら起きない。
そもそも天元のこのぶっ飛び加減は前からだ。
そんな他愛のないやり取りも私からしたら嬉しい。
日常が戻ってきたみたいで嬉しくなり、天元の腕の中で顔を綻ばせた。