第46章 【番外編】束の間の休息を君と
「宇髄さん?イチャイチャなどしていません。」
「そうか?そりゃ悪かったな。ほら、さっさと肉食え。俺が全部食っちまうぜ?」
「……いただきます。」
揶揄うつもりはなかったが、胡蝶の目が据わっているのでうっかり目を逸らして謝罪をした。
しかし、少しだけ耳が赤くなってるように見えるのを俺は見逃さない。
(…何だよ、満更でもねぇんじゃ…?)
無言で箸を取ると黙々と食べ始めた胡蝶にようやく恥ずかしさから回復したほの花が声をかけた。
「しのぶさん。」
「…?はい。」
「何を買ってもらったんですか?」
「………はい?」
ほの花の視線は冨岡が持っていた包みに注がれていて全員がポカンとしてしまった。
ほの花は頭が良い。
薬師をするだけあって薬の知識やら医療の知識はお館様もこの胡蝶ですら認めるほど。
現役の時は鬼殺隊でなくてはならないほどの医療の要と言っても過言ではない。
でも、それ以外は少しだけ抜けている。
抜けていると言うのは優しく言った。
俺はほの花のそういうところが可愛いと思ってるからなんとも思わないが、要するにめちゃくちゃボケてるのだ。
「…おまえ、何言ってんの?」
流石に未来の夫として窘めなければと思って、ほの花に声をかければキョトンと首を傾げて言葉を続けた。
「え?冨岡さんに何か買ってもらったんじゃないのかなって…。え?違うんですか?」
「なっ、は、はい?ち、違います、これは…「そうだ。」……へ、な、は?!」
しかし、胡蝶が反論しようとした矢先に冨岡が会話をぶった斬って入ってきた。
無口な男がこんな風に会話に割り入ってくることすら珍しいが、理由も何やら面白そうな内容でニヤニヤと顔を緩ませてしまう。
「おー?何だ何だ?面白そうな話じゃねぇかよ。何だよ、お前らデキてんの?」
「な、ち、違います!!変なこと言わないでください!!」
「そうだ、宇髄。そんなことはない。」
「…はぁ?」
否定するだろうと思っていた胡蝶だけでなく、きっちり冨岡まで否定したきたことでほの花と首を傾げている。
だが、冨岡はそのまま言葉を続けた。