第46章 【番外編】束の間の休息を君と
「お、それならよぉ!この俺様が奢ってやっからお前らも来いよ。な?いいだろ?ほの花もいいよな?」
「え?!…あ、わ、私は良いけど…。」
──冨岡さんはいいのかな?
そこまで来ると一番最初に思い浮かぶのは冨岡さんがしのぶさんと二人きりで過ごしたいのではないかと言うこと。
しのぶさんの真意が分からないのでそれも正しいのか分からないけど、ニコニコといつもと変わらない様子の彼女に釣られて笑顔になる。
最近、顔色がイマイチ良くない気がしていたけど、陽の光の下で見てみれば幾分か血色が良く見える。
柱としてただでさえ忙しいのに、蝶屋敷にはひっきりなしに怪我人が運び込まれるので、しのぶさんは昼夜を問わず忙しい。
私の体調さえ元に戻っていれば手伝いに行くところだが、今は逆に迷惑をかけてしまうことが必至なので下手なことは言えない。
しのぶさんには元気になってもらいたいし、牛鍋はたんぱく質も豊富だからきっとスタミナもつくはずだ。
「でも…お邪魔じゃないですか?二人きりでお出かけだったんですよね?」
「全然!大丈夫です!!」
「お前……、別に良いけどすげぇ食い気味に言うじゃねぇか。俺と二人は不満なのか?あん?」
「ち、違うけど…!しのぶさんと冨岡さんとお食事する機会なんてあんまりないじゃん…!天元とは朝餉も一緒に食べたよ?」
「そりゃそうだろ!一緒に住んでんだから!!」
先ほどまでは乗り気だった天元が何故か不貞腐れているが、何だかんだで彼は大人だからこういう時大人な対応をしてくれる。
諦めたようにため息を吐くと、冨岡さんに向き合った。
「ったくよ…、おい、冨岡もいいだろ?」
「…ああ、胡蝶が良いなら俺は構わない。」
「よし、じゃあ、行くか。」
その場をしっかり纏めてくれると天元が私に向けて手を差し出してくれるので、それに己の手を絡ませる。
しかし、チラッと冨岡さんの手を見るとそこにはしのぶさんの荷物なのか可愛らしい包みが収まっていて、私はピンときてしまった。
(…あれ…?!ひょ、ひょっとして…もうそういう仲…!?)
そうでなければ、女性の荷物を持ってあげるような人には見えなかったので、ニヤける口元を隠すこどせずに天元を見上げた。