第46章 【番外編】束の間の休息を君と
何を話したらいいのか分からないとは思いつつ、蝶屋敷にいる子たちへの贈り物を選ぶときにチラッと意見を聞いてみたら『こっちが良いと思う。』と一緒に悩みながら答えてくれたので拍子抜けしてしまった。
何故ならば、女物の好みなどわかりやしないだろうし、『分からない』と言われると思い込んでいたからだ。
一度聞いてみれば、長い思考を経て指を真っ直ぐに指を向けたのを皮切りに彼は全ての贈り物の意見を述べてくれた。
しかも、そのどれもちゃんと考えてくれたようで遠からずな内容で全員分の贈り物を整えることができた。
「冨岡さんって…意外にちゃんと喋れるんですね。驚きました。女物の好みなど分からないと思っていました。」
「……好みは分からないが似合いそうなのか考えるくらいはできる…?」
「その疑問系で終わるのやめてくれませんか?」
「いや、女子と初めて贈り物を共に選んだからそれすら分からない。」
「なるほど…。それなら何故付き合ってくれたのです?断ってくれても構わなかったんですよ。」
苦手だろうとわかっていたのに誘った私も私だが、受けた冨岡さんも冨岡さんだと思う。
呆れ顔でため息を吐けば、ジッと顔を見つめられたので首を傾げた。
「何ですか?」
「胡蝶の顔色が最近良くない気がしていたから気にしていた。だからついてきた。」
「え…?」
それは私の中で一番知られたくない機密事項。
藤の毒が全身に回っていることを知る者は殆どいないのだから。
何を考えているのかわからない顔をして見てくるが、その瞳の奥に優しさを感じて少しだけ顔が熱くなった。
「それはどうも。ですが心配は無用です。さ、買い物も済みました。お礼に昼餉でもご馳走しますよ。」
会話をさっさと終わらせて、その場から離れようとした時、後ろから聴き覚えのある別の男性の声がした。
「あれ?胡蝶と冨岡?珍しい組み合わせだな。」
「あ!本当だ!しのぶさーん!冨岡さーん!」
追って女性の高い声が聴こえてきたので振り向くとそこにいたのは六尺を超える大きな背丈の宇髄さんとその横にぴったりと寄り添い微笑むほの花さんの姿があった。