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陽だまりの先へ【鬼滅の刃/音夢💎】R指定有

第46章 【番外編】束の間の休息を君と





「冨岡さん、奇遇ですね。どちらへ?」


「…あー……、厠に?」


「何故疑問系なのですか?しかも此処は外です。厠に行くならば家に帰るべきです。」


町で出会ったのは鬼殺隊の柱仲間である冨岡さん。何を考えてるのかよく分からない不思議な人。
だけど、痒いところに手が届くと言うか、たまにいて欲しい時にいてくれたりする。


今日はいつも蝶屋敷に仕えてくれている子たちに何か贈り物をしようと思って買い物に来た。
鬼舞辻無惨との最後の戦いが迫る中、今まで良くしてくれた子たちに生きてる間にお礼をしたいと考えたからだ。


手荷物はいっぱいになるだろうと考えていた時に出会ったのが冨岡さん。
厠に行くだなんて分かりやすい言い訳を言ったのは暇なのを悟られたくなかったのだろうか。

それすらよく分からない木偶の坊の彼の気持ちなんて理解しようと思う方が間違っているのかもしれない。


だって厠に行きたいはずの彼は私との会話をした後、そのままそこに止まり続けているのだから。


(…まぁ、多分暇でしょうから…)


随分な言い方だと自分でも分かっているが、どう扱ったらいいのかも分からないので仕方ないと思う。


「お暇なんだったら買い物に行くので荷物持ちお願いできませんか?」


目の前で固まったままボーッとしている冨岡さんにそう声をかければ、漸く瞬きをして「わかった。」と言ってくれた。


(やっぱり暇だったんですね…。)


柱仲間の中では話が盛り上がらない人間のうちの一人である彼と何を話したらいいのか分からないが、逆に何も話さなくても気を使わないというのも良いかもしれない。


もちろん甘露寺さんであれば楽しい会話で盛り上がるだろうが、楽しい会話など冨岡さんに期待してはいけないのだ。

「先に厠に行きますか?」

「いや、……もういい。」


でも、つい意地悪意が出てしまった私は彼を揶揄うような言葉をかけてしまったけど、怒るわけでも無く大した話の盛り上がりも無く、その会話は空に吸い込まれていった。


(……何話したらいいんですか?)



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