第45章 【番外編】かまぼこ隊まぐわいを知りたい!の巻
「…へ?あ、そ、そうなの?」
「ああ。だからほの花もカナヲん家でも行ってこいよ。あとで迎えに行くからよ。」
「…う、うん?わかった。」
不思議そうなほの花だが、その理由はわからないでもない。
いつもは一人でどこかに行こうものならば俺が引っ付いて行くのが当たり前。
一人で出かけることを了承したのは結婚してから初めてではないか。
そうでなくともこの外見最強のほの花が他の男の目に入れば、その男の目を潰してやりたいほどの激情に支配されてしまうと言うのに。
俺は懐から小袋を出すとほの花に差し出す。
「これでアイツらに茶菓子でも買っていってやれ。ほの花も好きなモン買って女子会とやらを楽しんでこい。」
「ありがとう…!じゃあ行ってくるね!待ってる!!」
「ああ、舞扇持っていけよ。変な男に声かけられたら頚を斬れ。」
「人間殺したら捕まるから…!」
鬼のいぬ世界。
もう人が死んでも不審死というわけにはいかないだろう。
呆れたように笑うほの花だが、半分本気な俺からするとその態度は気に入らない。
「…まぁ、気ィつけていけよ。」
「はぁーい!じゃ、炭治郎、善逸、伊之助!ごゆっくり〜。」
ほの花がそう言えば手を振り見送る三人だが、その顔は真っ赤に染まっていてこれから何の話をするのかほの花ですら薄っすら気が付いていた。
口に出せば野暮というものだ。
ほの花は口を噤むと天元が手渡してくれたお金が入っている小袋を受け取り、足早に屋敷を出た。
ほの花を見送り、遠のいていく足音が聴こえなくなったのを確認すると天元は役目を終えても近くで暮らしていた虹丸を呼び寄せる。
「何ダ!!ドーセほの花ノ護衛ダロ!!」
「おー、よく分かってんじゃん。カナヲんとこまで頼むわ。宜しくなー。」
「鴉使イ荒イィイッ!!」
「文句ならコイツらに言えよ。今日はこの三人の頼みを聞くためだ。ハハッ」
ニカッと笑う天元はしっかり嫌みを言いつつも頼もしくもある。
それは柱として現役だった時のまま色褪せずに炭治郎達にとっては頼りになる存在だった。