第44章 【番外編】かまぼこ隊デートを知りたい!の巻
──その後の宇髄家では…
「なぁー、悪かったって〜、許せよ。ほの花。ほの花ちゃん?可愛い可愛い可愛い可愛いほの花ちゃん?」
「知らない知らない知らない…!!!あんな…!みんなの前で口付けるなんて…!!恥ずかしくてもう会えないよ…!」
すっかり不貞腐れたほの花を天元が必死に宥めていた。
豆大福買ってやるも駄目。
温泉連れて行ってやるも駄目。
あの手この手で許しを乞うが一向にご機嫌が直らないほの花に天元も困り顔。
こんな風に感情を露わにするほの花ですら可愛いと思ってしまう天元もまた随分と腑抜けになっているのだろう。
「だってよぉ、アレが一番手っ取り早かったろ?じゃあ、俺がアイツらのうちの誰かと接吻すりゃァよかったってか?」
しかし、思いもよらぬ言葉にぴくりと肩を震わせたほの花が振り返ると天元が満面の笑みでこちらを見ていた。
「なぁ?アイツらに接吻してやりゃあ良かったのか?」
「…そ、それは…!」
「あー、流石に男は気持ち悪ぃよな。そんならカナヲ達三人を呼び寄せて俺が…「だ、駄目!!!」」
──男は気持ち悪いからカナヲ達に接吻して教えれば良かったのか?
そう言うはずだった天元の言葉を遮ったのはやはりほの花で、その顔は真っ赤に染まって唇を噤み、若干震えていた。
「…や、やだ…。他の…女の子としちゃ、やだ…。」
小さい声だが、ハッキリとそう言ったほの花に天元は目尻を下げるとぽんっと頭を撫でる。
「…当たり前だろ?するわけねぇよ。だったらほの花で良かったろ?お前しか選択肢はねぇんだから。」
「…う、うん…?」
まんまと言いくるめられた気がしないでもないほの花だが、結局は再び降ってきた天元の優しい接吻に頭の中の考えは一気に吹っ飛んでしまった。
三人が帰ったことで宇髄家に訪れたのは静かな昼下がり。
口づけをし続けていたらどうなるのかなんて分かりきったこと。
「部屋行くか…?」
「…う、うん。」
天元に抱き上げられて向かった先は二人の寝室。
昼間であっても愛する人との蜜事は夫婦の大切な時間。