第44章 【番外編】かまぼこ隊デートを知りたい！の巻

「分かりました！俺はもう大丈夫です！善逸と伊之助は？」

「お、俺も…大丈夫かな…！まずはせ、せ、接吻より告白をしなければ…！逢瀬に誘った時に言うんだ…！頑張れ俺、負けるな俺…(ﾌﾞﾂﾌﾞﾂﾌﾞﾂ…)」


炭治郎と善逸が天元の話に納得して切り上げようとしたのに対して、今度は伊之助が手を挙げた。

その瞳はキラキラと輝いていて、そこにいたほの花だけが嫌な予感がしていた。
こう言うときの伊之助は猪突猛進で自分の気持ちに素直。

そして突拍子もないことをサラッとやることに定評があるからだ。


「なぁ！おっさん！さっきの接吻もう一回見せてくれ！！」

「お、お前。やる気あんじゃねぇかよ。やはりお前は見込みがある！！」

「なーーーーーい！！見込みなんてない！！絶対に嫌！！！」


もちろん話を遮ったのはほの花。
この期に及んでまた公開処刑だなんて己の精神力では無理だと強い拒否を示す。

それに不満そうなのは天元と伊之助。

天元はもちろん夫である自分の接吻を拒否されたことに対して。
伊之助は勉強のためにもう一度復習したいのに協力してくれないことに対してだ。


「あ？何だよ、お前。俺の接吻が嫌だってか？」

「そうだぞ、おっさんが不憫だぞ。」

「そ、そゆのは…！また、ふ、二人きりの時にやるから！！」

「おっさんとやるのが嫌なら俺にやらしてくれ！練習する！」


伊之助は山育ち。
貞操観念は独特だ。ほの花のことを雌と言い、まぐわいですら交尾だ。
動物の世界では接吻などないのだから交尾ほどの大ごとではないと言うのが伊之助の考え方だ。

それについ今の今まで伊之助の肩を持っていた天元の目が思い切り吊り上がった。


「はぁーーん？！テメェ、ふざけんな！誰がテメェとさせるか！！」

「はぁ？何でだよ！交尾させろって言ってんじゃねぇだろ？！アオイの時失敗したらどうすんだよ！」

「知らねぇーっつーの！テメェのケツはテメェで拭け！！ほの花を練習台にするつもりなら今すぐ帰れ！」

「何だとー！むぐっ！！」

「「お邪魔しましたーーーーー！！」」


これ以上、騒ぎが大きくなると音の呼吸を使われて殺されると察知した炭治郎と善逸は伊之助の口を塞ぎ、脱兎の如く宇髄邸を後にしたのだった。