第44章 【番外編】かまぼこ隊デートを知りたい!の巻
「…よし、俺帰ったら禰󠄀豆子ちゃんに思いきって告白してみようかな…!」
「それがいいんじゃないか?禰󠄀豆子は鈍感だからはっきり言ったほうがいいと思うぞ。」
漸く兄として有力な情報を出してきた炭治郎に善逸はジト目で見つめるが、首を傾げるだけの炭治郎に半ば諦めの境地だ。
この三人の中で唯一空気の読める男、善逸。
しかし、此処で一人だけずっとぶっ飛んでいた伊之助がまた空気をぶち壊した。
「なぁ、おっさん。接吻の仕方教えてくれ!猪突猛進!!まどろっこしいのは面倒だからよ!ぶちかます!おっさんに一票だぜ!」
「「…………。」」
伊之助がアオイに対して真剣なのは間違いない。その瞳は真っ直ぐに天元を射抜き、そこに少しの澱みもないから。
しかし、猪突猛進の如く、色々すっ飛ばしていることにほの花は苦笑いだ。
ほの花からしてみたらもちろん目の前の三人とも仲良しだが、カナヲ、禰󠄀豆子、アオイとは女友達として確かな友情を築いていた。
床に臥せていた時も何度もお見舞いに来てくれて、天元がいない時は話し相手になってくれたりもした。
それ故にどっちの気持ちも知り得ているため言うに言えないのだ。
カナヲ達三人も炭治郎達を好いているのは間違いないし、上手くいくだろうから、たとえ伊之助が猪突猛進で接吻をしたとて上手くいくのだろう。
ただそれを知っていて此処で口を挟めないのもまたツラいものがあるのだ。
やはり告白は当人同士でしてもらった方がいいと言うのがほの花の考えだ。
目の前で照れくさそうな三人を見ると嬉しいし、上手く行って欲しいと願うばかり。
「接吻なぁ〜…。まぁ、そういうのはなぁ…実践が一番だからなぁ。」
だが、突然ほの花に悪寒が走ったのはその時だった。
隣にいる天元がニヤリと笑ったかと思うとほの花の肩と腰を掴み、勢いよく抱き寄せるとそのまま己の唇を押し当ててきた。
「んーーーーーー!!!!」
それはもちろん接吻で、公開授業だと言わんばかりに濃厚な口付けをかまされたが、ほの花からしたら公開処刑もいいところだ。