第44章 【番外編】かまぼこ隊デートを知りたい!の巻
「え、で、でも…逢瀬の仕方って…『やっほーー!あんみつ食べに行こー!』って言うだけじゃ…?」
「おいおいおいおい、だからお前と一緒にしてやんなって。そんなの人それぞれに決まってんだろ?」
「え?!そ、そうなの?!てっきり逢瀬っていうと天元は絶対甘味に連れて行ってくれるからそういう物だと思ってた…!!」
「そりゃ、お前が甘味を好きだからそこに連れて行ってただけだわ!!」
ほの花は天元以外と男性と交際経験はない。
それどころか男性からは背丈が高いことを理由に敬遠されていた経験を持つわけで、天元以外との逢瀬など勿論ない。
必然的に[逢瀬=天元とのお出かけ]になるのも無理はない。
しかしながら、二人のやりとりをポーッとした目で見ている炭治郎、善逸、伊之助。
天元は元上官。
ほの花は友達。
二人の夫婦っぽい振る舞いに慣れないし、羨ましさもある。
自分も想い人とそうなりたいと思う反面、どうしたらこんな風に自然に男女の関係になれるのか未知の世界。
友達としてならば恥ずかしくないが、いざ女性として見てしまうと照れ臭いのもあるし、男としてきっちりリードしなければという使命感もある。
「…あのー…どうしたら男として見てもらえると思います?」
ポツリと呟いたのは黄色頭の善逸。
その視線は目の前の天元に向けられていて真剣そのもの。
気弱な彼が一番聞きたいことを聞いてくれたような気にもなり、炭治郎も伊之助も便乗するように天元を見つめる。
結局のところ、逢瀬がどうのは二の次。
友達という関係性から入ってしまったので、男女の関係になりたいのにきっかけがないのだ。
しょぼんと項垂れた善逸に天元は咳払いをひとつして向き合った。
「まぁ、男らしいところを見せるっつーより、お前らしいのがいいんじゃねぇの。無理して背伸びしたってバレたときツラいだけだぜ?」
「…俺、らしい?」
「そうそう。お前ららしいのが一番だって。俺ならあまりに進展しねぇなら先に接吻でもしちまうかもしれねぇけどな?」
隣にいる愛おしい妻を見ながらニヤリと笑うと慌てて口を手で覆うほの花。
天元のやり方はあくまでほの花仕様。
確かにそれがカナヲ、禰󠄀豆子、アオイに通用するかと言ったら必ずしもそうではないだろう。