第44章 【番外編】かまぼこ隊デートを知りたい!の巻
「あ、あの…今日は宇髄さんに聞きたいことがあって来たんです!お時間いいですか?」
先陣を切って話題を切り出したのは炭治郎だ。
薄っすらと頬を染めるその姿に天元は首を傾げた。
「へぇ、どうした?珍しいじゃねぇか。そんな理由で此処まで来るなんて。」
「えへへ…、はい!できればほの花にも聞きたかったんですけど…お昼寝中なら仕方ないですね!宇髄さんお願いします。」
「ああ、まぁ上がれよ。茶でも出すわ。ほの花もその内起きるだろうぜ。毎日昼寝してっけど、せいぜいあと半刻くらいだろうな。」
天元にとって、炭治郎、善逸、伊之助は鬼舞辻無惨との最終決戦で生き残った数少ない同志。
遊郭での戦いでも共に戦った後輩でもある。
そんな彼らの訪問はいつだって嬉しいものだが、天元の最優先事項がほの花だというのもまた周知の事実。
暗黙の了解でほの花を起こさないように静かに屋敷に上がると天元に促されるがままに客間に通された。
◆◆◆
「で?話っつーのは?」
元嫁達もいない。
ほの花も昼寝中。
不慣れながらも茶を淹れるとほの花用に大量に買ってあったカステラを皿に取り分けて出すと、一目散に食べ始める伊之助に炭治郎と善逸は苦笑いだ。
しかし、天元が話を切り出したことで炭治郎がまた背筋を伸ばして頬を染めた。
「あ、あの…ですね…!その、宇髄さんに教えてもらいたいことが、あって…!」
「おー、何だよ。」
「えと、その…、女子(おなご)との逢瀬について!し、知りたいと思いまして…!」
「………はぁ?」
頬を染める炭治郎と既に妄想の世界に入っている善逸とカステラに夢中の伊之助。
三人三様の反応だが、こう見えて天元は女の扱いには慣れている。
元嫁が三人もいたと言うのもあるが、ド派手な色男としては女性経験はまぁまぁ豊富だ。
ほの花には言えやしないが。
しかしながらわざわざこんなところまで会いに来て教えを乞うと言うことは想い人でも出来たのだろうと簡単に予想がついた天元はニヤリと笑った。
「好きな女でも出来たのか。お前ら。」
天元がそう核心に触れれば、今までバラバラの反応だった三人が同じように顔を赤くしたことに目尻が下がった。