第44章 【番外編】かまぼこ隊デートを知りたい!の巻
「「「ごめんくださーーい。」」」
宇髄家に突然響き渡ったのは三人の声。
聴き覚えのある声に反応したのは縁側で昼寝をしているほの花を膝に乗っけてうたた寝を仕掛けていた天元だった。
今日はあの六人は揃って出かけていてこの屋敷には自分達以外にはいない。
必然的に自分が来客対応をしなければいけないので、天元は膝の上ですやすや寝ているほの花を起こさないようにそっと座布団に頭を乗せてやる。
「…ちょっと待ってろよ。」
幸せそうな寝顔に口づけするのも忘れずに、立ち上がると玄関に向かう。
「おっさーーーん!!俺だーーー!!」
「伊之助!そんな失礼なこと言ったらだめだぞ。」
「そうだよ、伊之助。だから俺はやめようって言ったんだよぉぉ!どうせ怒られるに決まってるんだぁあ!」
耳の良い天元は彼らの声は十分すぎるほど聴こえているし、何なら煩いくらいだ。
耳を塞ぎながら玄関まで来てみれば案の定の人物に口元を引き攣らせた。
「…あ?何だよ、お前ら。来るなら静かに来い。ほの花が昼寝してんだよ。」
「ヒィィィッ!!すいませんすいませんすいません!!出直しますぅぅっ!!」
天元の機嫌の悪そうな態度に一目散にビビった善逸を炭治郎と伊之助が何とか掴まえる。
今日、此処に来たのは他でもない元音柱である天元に聞きたいことがあったからなのだ。
このまま帰ったら何のために来たか分からない。
「善逸、静かにしろって!ほの花がお昼寝してるんだって。しー…!」
「そうだぞ、紋逸。お前、おっさんにビビりすぎだろ。」
遊郭での戦い以降、ほの花が体を壊しているのは周知のこと。
彼らもそのことは重々承知の上で此処まで来た。
しかし、善逸はほの花に過去に抱きついたり手を繋いだりしたことがあるために天元から怒りをぶつけられたこともあるのだ。
その為、他の二人よりも天元を怖がるのは無理はない。
ただ三人の目的は一致している。
此処で帰るのは遥々山奥から降りてきた意味がないというものだ。