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陽だまりの先へ【鬼滅の刃/音夢💎】R指定有

第43章 【番外編】ここに、いるよ。



「ちょっと待てぇえ!!ンなもん持つな!!」

「え?え…これ薬箱だよ?」

「ダメだっつーの!!重いモン持ってなんかあったらどうすんだよ?ほら、持ってやるから。」

大切な家族がお腹に宿ったことを知ってから数ヶ月。
日に日に大きくなるお腹に妊娠したことを実感している。
あれからすぐに悪阻も始まってしまい、毎日吐き気と闘うことにはなったけど、天元や同居している家族のお陰で何とか過ごすことができた。

気持ち悪さからまたも天元の胸で吐きそうになった時は彼に「お前は俺に吐がないといられない病でも患ってんのか?!」と苦言を呈されたのは記憶に新しい。

だから悪阻が落ち着いたことを誰より喜んでいたのは天元だったと思う。

「ありがとう…、でもわたし持てるよ〜?」

「持てる持てないじゃねぇわ。持つなっつーの。」

「は、ハイ…」

彼との子どもが欲しいと熱望した頃が懐かしい。
私から薬箱を取り上げると箪笥の上にそれを置いた天元が座るように促してくる。

天元が本気を出せば、きっと私は外に一歩も出ることなく過ごすことができるだろう。


「腹痛くねぇか。最近よく張るから安静にしろって産婆に言われたところだろうが。」

「はぁい…。もう心配性だなぁ。」

「当たり前だろ?!俺の妻と子になんかあったら困るだろうが!」


天元が怒り気味で私のお腹に触れて撫でた時だった。


──ピクン

「…!?」

急にお腹がピクンと動いたのだ。
いつも動く時に立ち会えないことを嘆いていた天元。
しかし、今は紛れもなくその振動が彼の手に伝わったのか手のひらを見つめて放心状態だ。

「…ほら、お父様、そんなに怒らないで〜って言ってるのかもよ。」

「お、父さま!?くっ…!!(良い響き…!!)」

「ふふ、父親になっても…私を女として見てね?」

「はぁ?当たり前だろ?俺はお前を生涯抱き続けるぞ。今できない分覚悟してけよ?」


ぽこぽことお腹を蹴る胎児の成長を二人で喜び、共有できる喜びは何よりも尊い。

──子どもができたら、お前と手を繋いでもう片方で子供と手を繋げる。


私の記憶が戻った時にそう言ってくれた天元のことをわすれたことはない。
今ある幸せは当たり前じゃない。
だからこそ心の底から嬉しいと感じる。

ありがとう。
此処に来てくれて。
私も天元もここで待ってるよ。

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