第43章 【番外編】ここに、いるよ。
【おまけ】
──秋が深まる頃
私たちに生まれたのは元気な男の子。
天元に似た目元に私に似た栗色の髪。
二日間陣痛に苦しむ難産だったけど、産まれた瞬間に天元から一筋流れた涙と元気な産声で疲れが吹っ飛んだ。
「…す、っげぇ可愛い…。」
お猿さんみたいに赤くてまだむくみもある赤子を見て呟いた一言が彼を愛した一つの理由。
天元は愛に溢れた人だから。
「…ほの花、ありがとな…。お疲れさん…。」
そうやって赤子を抱えながら私も抱きしめてくれる天元。
汗だくで疲れ果てていて碌に話もできない私なのにそんなこと気にもせずに優しく撫でてくれる天元が大好き。
「…天元と、結婚できて良かった…。」
「俺も。ほの花を嫁にできて本当に良かったと思ってる。愛してる。」
「…う、あ、なんか、急に泣ける…」
「ハハッ…いいぜ。優しい夫が全集中で抱きしめてやろう。」
「痛かったぁああ…!!」
「あ、ガチの方な?!よしよしよし、痛かったな?!よーしよしよし。頑張ったな。偉いぞ!」
本当は天元の優しさに込み上げたんだけど、視界に入ってきた産婆さんの存在に気づいてうっかり照れ隠しをしてしまった。
それでも、天元の温もりがこれ以上ないほど安心して結局号泣してしまったのだった。