第43章 【番外編】ここに、いるよ。
「え、…え、ええ?!」
「だってお前、今月、月のモノきてねぇだろ?」
「…き、きて、ない…けど。」
ほの花の様子が何処となく違うと感じたのは今月に入ってからのこと。
やたらと眠そうにしていて、起き上がる瞬間少しフラついていることもある。
体調も漸く元に戻ってきていたと言うのにまた逆戻りか…とため息を吐いたのは記憶に新しい。
でも、それから暫くして月のモノが来てないことに気付いた。
不順気味だというのは知っていたから数日の誤差は日常茶飯事のことだが、それから数週間以上経った今も月のモノは来ていない。
ほの花から報告してくるのを楽しみにしていたのにアイツは一向に何も言ってこない。
医療者のくせに鈍感も良いところだ。
確かに体調の浮き沈みはあったが、此処最近は落ち着いていたのだから妊娠を疑ってもいいだろうに。
経口避妊薬と言うものを飲んでいたのも知っていたが、記憶を取り戻して以来そういうものは一切やめさせた。
ただし、体調が安定するまでは避妊はしていた。
膣内射精はせずに必ず外に出すようにしていたし、感覚的に安全日を把握していたのもあり、ほの花が妊娠することはなかった。
俺の考えが一変したのは正宗と雛鶴に子どもが生まれたからだ。
慈悲深く優しい眼差しを真雪に向けるほの花を見て子どもが欲しくなった。
体調もだいぶ良くなってきていたのもあり、そろそろ良いかと思ったのもある。
だからここ最近の情交では問答無用に膣内射精をしていたのだが…
ほの花は気づいていなかったかもしれない。
いつもまぐわう時は意識を飛ばすことが多かったし、最終的に俺がどんな射精をしてるかなんて知りもしないだろう。
それにしても月のモノの周期を俺よりもわかっていないほの花にはため息しか出ない。
うーん…と唸りながら考え始めたかと思うと、漸くハッとしたように俺を見た。
「…あれ?そ、そういえばもう何週間も来てない…?」
「そうだろ?それに妊娠の兆候も出てるだろ?」
呆れたように指摘するとみるみる内に嬉しそうに破顔するほの花に俺の目尻も下がった。