第2章 興味本位
何故そう思ったかと言えば、勝手な思い込みだが、てっきり女三人を引き連れてくるかと思いきやほの花が連れてきたのは野郎三人。
「…男かよ…。」
「え??」
聞こえるか聞こえないかの声量で呟いた言葉は一番近くにいたほの花にすら届かなかったようでホッと胸を撫で下ろす。
何を言っているのだ。別に男だろうが女だろうが継子として育てるのはほの花だけなのだから関係ない話だ。ただコブ付きだってだけ。
「いや、いい。行くぞ。」
「ほの花様のことだけでなく我々まですみません。この度はよろしくお願い申し上げます。」
「ああ。気にすんな。」
ほの花"様"っつーことはこの三人はほの花に仕えていたということか。見た感じ良い家柄のお嬢様といったところか。しかし仕えているという割には砕けた話し方もしているし、安易に主従関係というだけではなさそうだ。
ふと後ろを歩くほの花を見るとうっかり失念していたがコイツは体調不良だったのだ。歩く速さを考えていなかったため、少しだけ肩で息をしていて慌てて速度を緩める。
「…悪ぃ。大丈夫か。」
「あ、大丈夫です…!すみません…!」
突然決まったとは言え、これから戦いをしていかなければならないのであればこんな事くらいで根を上げてどうするのだ、と咎められるとでも思ったのだろう。"大丈夫だ"と元気そうに振る舞うが仮にも先刻自分の胸に盛大に吐き戻したばかりではないか。
体調不良の時は柱であろうと、継子であろうと、女だろうと、男だろうと関係ない。
「何も今日から鍛えるつもりはねぇよ。ほら、来い。抱えてやる。」
「んなっ?!?!だだだだだ大丈夫ですっっっ!!!」
何回"だ"を言いやがった。顔を真っ赤にして拒否するほの花に呆れて勝手に抱え上げる。男に免疫がないのか腕の中でカチンコチンに固まる様子を見て後ろにいた三人がプッと吹き出した。