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陽だまりの先へ【鬼滅の刃/音夢💎】R指定有

第42章 【番外編】過去との決別






「…そうか。そういうことか…。」


天承さんは小さくそう呟くと掴み上げられていた腕を離して、代わりに肩をガシッと掴んだかと思うと思いっきり壁に体を叩きつけた。


──ドゴッ



体の痛みは当たり前だ。
それほど強く叩きつけられたのだから。

でも、ぼんやりと前が霞んだのはきっと頭を壁に打ち付けたからだ。


あまりに突然のことだった。受身が取れなかったのは勿論のこと、暫く床に伏せていた私が実戦で攻撃に反応できるだけの俊敏さは既にない。



恐らく彼もそれくらいのことで私が意識を失うなんて思ってもいなかったのだろう。
最後に見た彼の表情は明らかに動揺していて、それと同時に聴こえてきたのは愛おしいあの人の声。


私を呼ぶ天元の怒りに満ちたそれだった。













◆◆◆









鼻に抜ける土の匂いと顔に当たる陽の光に私は目を細めた。

まさか外に追い出されたのだろうか。
天元は…?

近くに彼の匂いはしない。
それでも無意識に天元を求めて重い瞼を上げてみれば其処にあったのは大きな木々の数々。
それには青々とした葉が生い茂り、その隙間から陽の光がまるで天国への道のように降り注いでいた。



「…え?まさか…、頭打って死んだ…?」



外に追い出されたかもしれないと思ったが、あたりを見渡してみても其処には全くもって彼の生家はない。


外に追い出されたにしても天元が近くにいながら…?
私の直感ではあの二人と比べても天元のが強いと思う。やはり鬼殺隊で柱を務めていただけあり、彼の強さは別格だ。


忍としても相当なものだったとは思うが、それに輪をかけて強くなっていたのだろう。



だからあそこで私が殺されることはなかったように思う。彼らも実力が計れないほど弱くはないし、あの状況で死んだとなれば頭を打って打ちどころが悪かったとしか言いようがない。



「……運、悪すぎる…。」



せっかく天元と婚儀を迎えるところだったと言うのにあれほど拒否していた彼の実家に来させてもらっだところで死んだとは…


どうにもこうにもまず第一に天元に申し訳がないということに尽きる。


彼は嫁になる私の我儘を聞いたがためにこんな不慮な事故に立ち会うことになってしまったのだ。


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