第2章 興味本位
ワラワラワラ…と言う表現が一番正しいだろう。お館様が退席すると柱全員がほの花を取り囲む。
「私、甘露寺蜜璃って言うの!!仲良くしてねぇ!」
「胡蝶しのぶと申します。薬師さんとはお話が合うと思うので是非私とも仲良くしてくださいね。」
同じ女子同士打ち解けるのは早いとは思うが、甘露寺はともかく胡蝶も興味深げに話しかけているのは薬師という職業が気になったのだろう。
「あ、ありがとうございます…。宜しく、お願い致します…。」
「親を手にかける気持ちはわかるぜェ…。まぁ気負わずやれやァ。」
そう言えば不死川も同じような境遇だったか。
普段は話さないような男までもほの花に声をかけてきたのは驚いたが、根は良い奴というのは心得ているので同じ境遇のほの花に労わりの言葉をかけるのは納得できる。
しかし、皆それぞれほの花に代わる代わる声をかけるのでそれに何とか返事をしているが些か疲れたような様子を見せたのでまた吐かれては堪らないと助け舟を出すことにした。
「まぁ、今日のところはその辺にしといてやれよ。あー…ほの花で、いいか?俺は宇髄天元。とりあえずお館様の意向もあるからついて来い。」
「あ…えと、う、宇髄、さん…、あの…」
「話は後だ。行くぞ。」
話したいことはこちらだって山ほどあるが、兎に角ここにいれば矢継ぎ早に質問攻めに合うこと間違いなしだ。
顔色も良いとは言えないほの花の手を取るとその場から抜け出す。黙ったまま付いてくるほの花だったが、門まで来ると立ち止まり、もう一度俺の名を呼んだ。
「あ、あの…!宇髄さん…!」
「んー?何だ?」
「その、一緒に来た連れが三人いるのですが…。」
その言葉にぐるりと首を回すとほの花と目線を合わせる。おいおい、まさか四人面倒見んのか、俺は。
「す、すみません…。えと、どうしたら…?」
「そう言うことは早く言えよな。分かった分かった。それなら連れて来い。ここで待ってるから。」
すると不安げな顔から急にパァと花が咲いたような笑顔を向けるほの花に思わず心臓がドクンと拍動した。
御礼を言うと踵を返し、慌てたように走っていくほの花をただただ眺めていた。