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陽だまりの先へ【鬼滅の刃/音夢💎】R指定有

第41章 【番外編】「娘さんを下さい‼︎」※





その日は私と天元の結婚祝いの宴が開かれた。
正宗達も雛鶴さん達と我が家に来てくれていて、大広間は途端に人でいっぱい。


最後に此処で宴を催したのはもう随分前のこと。
賑やかなのは嬉しいけど、先ほど泰君兄様と喧嘩をしてしまったせいで気分は浮かない。



「ほの花。ちょっと待て。」


配膳のために台所と大広間を何度も往復していると、声をかけられたのは私の大好きな人の声。
振り返ると少しだけ眉間に皺を寄せて、私の額に手を添えた。


「…??どうしたの?」


「お前、大丈夫か?顔色悪いぞ。疲れたか?」


「え?…ううん。大丈夫。体は何とも無いよ。」


「……体"は"?」



天元は私の微妙な変化にもすぐに気づいてくれる。体調が悪かったら必ずバレちゃうし、悲しかったり嬉しかったり…心の変化にも敏感だ。


「か、体"も"!大丈夫!」


天元は泰君兄様にあんなに酷いことを言われたのにいつもと変わらない。
私はお兄様と喧嘩をしたからと言って、すぐにバレてしまうくらいに分かりやすい態度をとって恥ずかしいにも程がある。

無理矢理口角を上げると天元に笑顔を向けるが、顔を近づけてきた彼が耳元で囁いた。


「…俺に隠し事するなんていい度胸だなぁ?今日の夜はて加減しねぇぞ…?」


「ひ、っ…!や、え?!」


「言えって。俺は夫になるんだぞ?お前のことなら何でも知っていてぇ。ほら、早く。」



此処まで来ると天元は私が何か悩んでいることもお見通しだろう。
彼の言う通り、隠し通せる自信もないし、夫婦になるのに隠し事をするなんて、それこそ失礼なのかもしれない。


私は天元から少しだけ距離を取ると「わ、分かったから…!」と煩い心臓の拍動を止めるために深呼吸を繰り返した。

話すということさえわかれば天元はいつもの強気の笑顔で私を見下ろす。
そんな彼を見上げると、ポツリと言葉を紡ぎ出した。


「…天元に、謝ってほしくて…泰君兄様と喧嘩しちゃって…。大嫌いって言っちゃった…」


たかが兄妹喧嘩だ。
夫にそんなことを言ったとしても仕方ないことなのかもしれないが、天元は馬鹿にする様子もなく、私の頭をポンポンと撫でてくれた。

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