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陽だまりの先へ【鬼滅の刃/音夢💎】R指定有

第41章 【番外編】「娘さんを下さい‼︎」※







「…私も行きたかったなぁ…お母様ずるいよ…」


私の言葉は台所で誰にも聞かれることなく包丁の音と共に消えていく。
頼まれた野菜を切って、大きなお鍋に入れながら考えるのは離れのこと。


「お父様と一緒に天元さんとお話してくるから此処お願いね」と言って出て行ってしまってから小一時間が経った。

もちろん天元とは今やいつだって会えるし、そばにいられるけど、実家に帰ってきてる今、私だって両親に天元のことをちゃんと紹介したい。

先程はお兄様達に邪魔をされてしまって、十分に紹介もできずに終わってしまったから。



お兄様達と違って両親は天元を気に入っていそうだったし、失礼なことを言ったりはしないだろう。
でも、此処で料理をさせられるくらいなら一緒にお話したりしたかった。


お母様とだって久しぶりに会ったのだから話をしたいし、ひとりぼっちで残されるのはどうも釈然としないのだ。


そうは言っても此処で何もせずに離れに乗り込んだとしても怒られるのは目に見えているのだからやることはやらなければならない。


「…はぁ…」


ため息を吐くと水を入れて、火をおこす。
材料から推測するに、今晩は肉じゃがのようだ。
お母様の肉じゃがは大好き。
天元も美味しいと言ってくれるから作れば喜んでくれるだろう。

それで少しは先ほどのお兄様達の無礼な態度が相殺されたらありがたいのだが…



「ほの花、少し良いか?」



勢いよく燃える炎の熱気がかかり、顔を顰めていると、後ろからかけられた声に私は口を尖らせた。


先ほどまで此処にいたお母様でもない。
お父様でも天元でもない。



「…泰君兄様…」



そう。


それは先ほど、天元に失礼なことを言ったお兄様の声だったから。
泰君兄様は四人の兄の中でも一番私を溺愛してくれていたのは間違いないけど、いくらなんでも天元に対する言葉は酷すぎると言うもの。



いま思い出しても腹立たしい。



「何の用?私、怒ってるんだから…!」


「…そう怒るな。お前が男に免疫がないのは知ってるんだ。変な男だったら俺が守ってやらないといけないだろ?」


「だとしても…!頭ごなしに天元を疑って酷いこと言うのは許せないよ…!私の大切な人なのに…!」



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