第41章 【番外編】「娘さんを下さい‼︎」※
「護衛だって立派な任務に変わりない。輝利哉くんも生きている。何よりも…生きて娘と結婚してくれると言うことが親としてはこれ以上ないと言うほど嬉しいんだ。」
「宗一郎さん…」
「泰君達も…勿論悪気があるわけではないんだけどね…。聞いているかもしれないがほの花はこの里でなかなか嫁の貰い手が見つからなくてね。泰君達も心配なんだ。男に免疫がないほの花のことが。本当にすまないね。」
ほの花本人からも正宗達からも聞いてはいたが、父親である宗一郎さんにもそう言われてしまうとやはりほの花がこの里で嫁の貰い手がなかったと言うのは本当なのだろう。
まぁ、正宗達によると兄君達が結託して男避けをしていたらしいが、ご両親はそれを知らないのであろう。下手に伝えて家族仲を悪くさせることもないので口を噤むのが得策だ。
大体、そうでなければほの花はひとたび町に出れば誰もが振り返るほど美しい女だ。
背丈は確かに一般的な女性より高いが、なるほど家系的なものなのだろう。
神楽家は総じて平均よりも身長が高いのだろう。
俺ほどのデカさはないが、ほの花が家族の中にいても大きく感じないのはそのためだ。
「大切な妹の伴侶となる男がどんな男なのか見極めたいと思う気持ちは分かります。なので気にしないでください。」
「…二人を見れば、深く愛し合っていることくらい分かるものだ。君がほの花を大切にしてくれていることもね。」
「それは…間違いないです。誰よりも…何よりも大切です。」
ほの花のことは大切だ。
誰よりも何よりも。
だけどこの人にとっても何よりも大切な娘だったはずだ。
俺がほの花のことを大切だと思っているように彼らからもそれが伝わって来る。
ちゃんと言わなければいけない。
そうしなければ失礼だ。
おおよそのことは最初に手紙で伝えてあるから分かってはいるとは思う。
でも、まだ言っていないあの言葉をちゃんと言わなければ筋が通らない。
「宗一郎さん。遅ればせながら…ほの花さんと結婚を前提にお付き合いさせていただいております。この度、娘さんとの結婚の許しを得るために伺いました。ほの花さんを娶ることをお許しください。」