第41章 【番外編】「娘さんを下さい‼︎」※
「お兄様達、やめて!天元に失礼でしょ!」
(おーおー…早速来たか。兄君達の洗礼が。)
ほの花が兄四人に向けて声を荒げてくれているが、俺的には想定内なので別に大したことはない。逆に眉間に皺を寄せて、ほの花の両親が「すまないね。」と軽く頭を下げてくれたことに笑顔を返す。
ほの花からここに来る前に兄君達のことは聞いていた。
長男は泰公。見ただけでどの男か分かる。
一番鋭い視線でこちらを射抜き、ほの花曰く最も溺愛していたと言う。
残りの三人の兄君は長男の考え方に必ず同調するが、長兄の指示がなければ余計なことはしないと言う。
次男は明慶、三男は龍臣、四男は灯夜。
しかし、長兄である泰公が俺を敵視してるのが分かるので同調しているのだろう。
「失礼なものか‼︎結婚の挨拶に来る前に婚約の挨拶にも来ない不届き者を妹の夫として認めることはできん!」
「それは私が決めることでしょ!お兄様達は関係ないじゃない!彼は鬼殺隊の柱だったの!忙しくてそんな暇なかった!酷いこと言わないでよ!」
まぁ、ほの花の言ってることも間違ってはいないが、確かに娶ると決めていたのならば早いところ挨拶にだけ来た方がよかったのは間違いない。
兄君達の怒りも分からないわけではないのだ。
「おーい、ほの花。とりあえず落ち着け、大丈夫だから。」
「天元…、でも…」
「貴様、馴れ馴れしくほの花と呼ぶな。妹を騙して手篭めにするつもりだろう!そうはいくか。断じて許さん!」
''手篭めにするつもりだろう"
→すいません。もう手篭めにしてます。
既に何度ほの花を抱いたか分からない俺はこの時点で兄君達に絶対にバレてはならない罪を背負っていることになる。
咄嗟にほの花の首回りを確認するが、何とか見えるところに痕は残っていないようでホッと一息吐いた。
(…あっぶねー…、痕見られたら結婚許してもらえないどころか勘当されちまうな。)
ほの花の大切な家族だ。
やはり結婚は認めてほしい。
挨拶に来たのに縁を切らせたなんてことは絶対に避けたい。