第8章 愛し君と…(※)
宇髄さんに言ったことに嘘はない。
強がりでもない。
彼が時間をかけてほぐしてくれていたことで動いてくれている内に痛みが軽減していた。
だから彼の律動が速くなっているけど、何とか耐えられる痛みだった。
それどころかこの痛みすら甘いと感じ始めている私は痛みが快感になる変な性癖の持ち主なのだろうか。
熱くて硬いそれは凶暴だと思っていたけど、宇髄さんだと思えば私を全身全霊で愛してくれていると伝わってくる。
「…っ、く、ほの花、ほの花っ…。」
切なそうに紡ぎ出される私の名前がこんなに好きだと思ったのは初めてのこと。
もっと呼んで。
もっと愛して。
「…う、ずいさ…、ぁぁッ、!」
「あー、くそ…、可愛、すぎ…」
きっと私だって汗に濡れて、欲にまみれた酷い姿なはずなのにこんな私に愛を囁いてくれる彼に"恋は盲目"という言葉が真っ先に頭に浮かぶ。
でも、余裕のなさそうな表情が終わりが近いことを物語っている。
終わらないで欲しいと思う一方で、この行為の終わりを体験してみたいという気持ちもしている。
彼の達する姿が見たいだなんてやはり私は変な性癖でもあるのだろう。
腰を打ち付ける速度がまた上がると彼の熱い呼吸が頬にかかって少し擽ったいけど、もっとくっつきたいと思ってしまう。でも、腕を彼に掴まれていてそれは叶わない。
この期に及んでまだ彼に望むのかと呆れられるかもしれないが、私の口は勝手に物を言う。
「…う、宇髄、さん、…もっと、くっつきたい、です…。」
「っ、そう、か…。」
すぐに腕を離して私の腕を自分の首に掴まらせると、そのまま口付けてくれた。
彼の胸が私の胸にくっついて
唇も
打ち付けられる結合部も全て熱い。
頭が白っぽくなってきてしまっている私が意識を繋ぎ止めるように彼に夢中で抱きついた。
大好きなにおいに包み込まれると、私は意識を微睡の中に手放した。