第40章 【番外編】不滅の想いよ、永遠に
どんどん仲間が死んでいく。
胡蝶から始まり、時透、不死川弟。
柱でさえ瀕死の奴らも多そうだ。
一般隊士などもっと多くの人間が死んでいるだろう。
此処の護衛の任に就くことを了承したとは言え、何もできない自分が歯痒い。
ただあちらに行って大した戦果をあげられない元柱であれば、此処で大切なお館様を守ることに専念した方が余程いい。
俺は運がよかった。
上弦の鬼との戦闘で生き残れたのは運がよかったとしか言いようがない。
「…大丈夫か、ほの花は。」
隣にいる煉獄さんが中にいるほの花の様子を気にしてくれている。
一時期、ほの花のことを毛嫌いしていて許さないとまで言っていたようだが、記憶を取り戻したほの花と共に薬と菓子折りを持って謝りに行くと、少しずつ蟠りが溶けていったようだった。
今ではほの花の薬を頼りにしてくれるお得意さんのような間柄だ。
煉獄さんがほの花を心配してくれているのは新たに構築されつつある信頼関係の賜物だろう。
「胡蝶もだけど、霞柱の時透のことは実の弟同然に可愛がってたからつらいんだろうな…」
「…そうか。そばに行かなくていいのか?」
「いや、此処を離れたら余計にアイツは気に病むんでね。それにこの任に就くと決めた以上、いくらアイツのためとは言え、命を懸けて戦っている奴らの手前、職務を放棄することはできない。」
「……そうだな。此処は死守する。」
ほの花もそんなことは分かっている。
悲しみに暮れてはいても、絶対に心が折れてはいけない。
命懸けで戦っている奴らがいる以上、心を折れてる場合ではないのだ。
俺と煉獄さんはお館様を守る最後の砦。
ほの花は万が一の時にお館様の救護。
そして本当の本当に誰もが死して、味方が誰一人としていなくなった場合、アイツは喉元を掻っ切って無惨にその血を浴びせる覚悟でいるだろう。
生き残ったのはありがたいし、運が良かった。
でも、鬼殺隊である以上、最後まで戦い抜く。
それが俺とほの花が決めた約束だった。
どちらも最前線で戦える状態ではないが、それぞれの道で全力を尽くす。
これはそういう戦いだ。