第39章 陽だまりの先へ(終)※
布団にくるまって彼が帰ってくるのを待っていると暫くして宇髄さんが戻ってきた。
パタン──と襖を閉じる音が聞こえたのでそちらを見れば手桶を持っている宇髄さんがこちらを心配そうに見ている。
すぐに駆け寄ると私の額に持ってきた手拭いを手桶の水に浸して乗せてくれた。
「ごめんな、無理させすぎたな。ちょっと熱が出てる。」
「え…?!」
そう言われてやっとこの体の火照りの理由を理解する。でも、多分そこまで酷くはない。
微熱程度だろう。
それなのに宇髄さんはそんな小さな変化でもちゃんと気づいてくれるのだ。
「大丈夫だよ。それに…昨日、嬉しかった…」
「おいおい…朝っぱら煽るなって…。ヤりたくなるだろ〜?」
「え、あ…、えと…私は…いい、けど…」
最後らへんの意識はないけど、総じて昨日のまぐわいは本当に気持ちよかったのは覚えている。
もちろん息ができないほどの圧迫感とそれに準ずる痛みもあったけど、それよりも彼と肌を合わせる感覚が今でも忘れられない。
彼も私と同じでまたシたいと思ってくれているならばそんな嬉しいことはないのだから。
でも、そんな私の言葉にため息を吐いて、首を振った宇髄さんは優しく私の頬に手を添えた。
「…お前が熱なかったら完全にヤってたけどよ。こんな状態のほの花抱けるわけねぇだろ?そばにいるからゆっくり寝ろ。このくらいならすぐに下がるだろ。」
宇髄さんは私の体のことを私より詳しい気がする。どれくらいで熱が出るとかどれくらいで下がるとか私よりも把握しているところを見ると彼の言うことを聞かざるを得ない。
彼が隣に寝転ぶと、先ほどみたいに私を抱き寄せる。
「…あー…マジで昨日最高だったなぁ…」
「あはは…、私も…気持ち、よかった…」
「だーからー、煽んなって。熱下がったらすぐにブチ込むからな。」
文句を垂れつつも私を抱きしめる手は一向に離れないのが嬉しい。
彼の胸に顔を寄せて首に腕を絡ませてみると触れるだけの口づけをされた。
「お前は俺を煽る天才かよ。次は手加減しねぇからな。」
そうやって意地悪そうに笑う宇髄さんだけど、その声は優しくて愛に溢れている。
心地よい其れを聴きながら、私は再び微睡へと意識を手放した。