第39章 陽だまりの先へ(終)※
「そうかもなー…。お前はただ守られてるって言うのは性に合わなさそうだもんな。じゃじゃ馬娘だ。」
「…う、ご、ごめんね。」
「でもよ、そうだと分かっていたのに俺は自分の欲をお前に押し付けたために心に残った蟠りを取り除いてやれなかったんだ。」
「宇髄さんは悪くないよ!そんな風に思うのは私が望んでない!!」
必死に首を振って否定するほの花だが、もうどちらが悪いとかそんなことはどうでもいい。
今どちらも生きていて共にいる。
人間、誰だって間違えることはある。今となってはそれを判断することは必死に生きてきた自分達を否定することになる。
お互いがお互いを許してやることで、やっと始められるんだ。
「ん、俺も望んでない。お前が気に病むことを。いいな?」
「…うん!分かったよ。ありがとう。」
「寒ぃだろ?部屋連れて行ってやるからよ。」
随分と此処に居たようだ。すっかり冷えてしまったほの花の体を抱き直すと部屋に向かった。
よく見ればちゃんと羽織を着ているあたり、風邪をひかないように予防措置をしているのは偉い。
縁側に上がり、ほの花の部屋の襖を開けようとした時、俺の夜着をツンと引っ張られた。
「ん?どうした?」
下を向いたまま顔を上げないほの花だけど、心臓の鼓動がやけに速い。
まさか体調でも悪くなったのか?と顔を覗き込もうとすると、蚊の鳴くような声でほの花がつぶやいた。
「…寒いから、宇髄さんと一緒に寝たい…」
寒いから俺と寝たい?
それは記憶が戻ってから今まで一度も言われたことのなかったこと。
そんな願いが嬉しくないわけがないし、顔がにやけるのと同時に危機感も募る。
そう主に下半身のだ。
「あー…い、いや、ね、寝てもいいけど、よ。俺…色々と我慢、できねぇかもしれねぇから…」
「…それでもいい。我慢、しないで。私、宇髄さんに…あ、愛されたい…です。」
やっとほの花の心臓がうるさい理由が分かった。腕の中で耳まで真っ赤にさせているクソ可愛い女が俺の様子を伺うように少しだけ見上げたところで俺の理性は切れた。
自分の部屋の襖を開けるとほの花を部屋に連れ込んだ。