第39章 陽だまりの先へ(終)※
「…私はほの花さんと数回お会いしています。先日の上弦の鬼との戦いで記憶を失ったことも知り得ています。」
「…!?!?」
それを聞いて思い浮かんだのは竈門が言っていた言葉。そしてほの花が昔涙ながらに言えないと言った言葉。
竈門は禰󠄀豆子の血を調べてもらっている人がいると言っていた。
そいつがほの花とも知り合いだと。
そしてほの花が昔、涙ながらに言えないことがあると言っていた。自分の母親の知り合いにあったといっていたのに、何故言えないのかずっと気になっていた。
それは
(……まさか相手が鬼だったから…か?)
しかし、確証はない。
会っていたと言うのが本当ならば俺は知りたかった。ほの花が何を思い、何をしていたのか。愛する女のことを全て知っていたいと感じた。
一度日輪刀を下げるがこちらはいつでも攻撃できるように相手を睨みつけたまま口を開く。
「…どう言うことか全部話せ。何故ほの花のところに来たかも言え。」
「貴様!命令するな!!」
「愈史郎!!」
「はい!!」
ほの花は俺の後ろで固唾を飲んで見守っている。ほの花とて気になってる筈だ。
目の前にいる奴らが誰かもわからないだろう。
「…お気づきの通り、私たちは鬼です。しかし、ほの花さんには鬼舞辻無惨を倒すために秘密裏に協力してもらっていました。」
「…協力?」
「あなたはもう知っている筈ですよ。ほの花さんの血の秘密を。私たちはその血を使い、鬼舞辻無惨に使うための毒の開発をしています。今日来たのは最後にもう一度採血をしたかったからです。」
淀みなくそう言う"珠世"と呼ばれた女は真っ直ぐに俺を見つめた。
それはお館様が言っていた神楽家がやろうとしていたこと。この女がほの花の家族と接触していたかは分からないが、やろうとしていることは的を得ている。
ほの花の記憶さえあればすぐに話の内容の是非が問えるがそんなことをいっていても仕方ない。今ここで対処しなければいけないのだから。