第39章 陽だまりの先へ(終)※
帰宅後、俺は全員を居間に集めると胡蝶からの伝言の内容をそのまま伝えた。
「……というわけでよぉ、柱稽古の第一の試練っつーのに参加することになったから宜しくな〜。騒がしくなるぜ!」
柱を引退してからというもの確かに体は鈍ってきていたし、後輩の育成もできて、自分の鈍った体をしごけるならば一石二鳥だった。
「わぁ!なんだかお祭りみたいですねぇ!!」
「此処に剣士の皆さんがやってきて天元様の鍛錬を受けるってことですよね?」
「たくさんお食事の準備をしないとですね!腕が鳴ります!」
元嫁達が一様にワクワクしている中、隣にいるほの花をみればキョトンとしてしまっていた。
まぁ、まだ鬼殺隊のことをちゃんと理解できていないだろうし、思い出してもいないのだからよくわからないのだろう。
「ほの花、大丈夫か?お前はいつも通り過ごせばいいからよ。無理せず体を第一に考えてくれればいい。」
「あ…う、うん。ありがとう…。」
「俺は稽古付けてやらねェといけないからよ、その期間はあんまりそばにいてやれねぇけど何かあったら夜にでも言ってくれていいからな?」
「…大丈夫…!ありがとう。お仕事頑張ってね。」
昨日の発熱は既に下がっていたが、ほの花の体はやはり無理が効かないので、元嫁達のように炊き出しに参加することは難しいだろう。
だが、何もできないことに少しだけしょんぼりとしたように見えたので、どうしたもんかと思案してみると、一番の適役があったことに気付いた。
「お、そうだ。んじゃ、ほの花はよ、怪我をしたり、へばった奴等の介抱をしてくれよ。無理しない程度に。」
「…え…?!い、いいの?」
「やっぱり何かやりたかったのか。まぁ、無理をしない程度にな。熱とか出たらすぐにやめさせるから自分で調整してやれよ?」
「うん…!分かった!ちゃんと無理しないようにする!」
前のほの花であればそれでも無理をしがちだったが、今は体が正直で無理をすることはできない。
必然的に休み休みやるしかないのだから、ほの花も流石に理解しているようだった。