第39章 陽だまりの先へ(終)※
「練習しようよ〜!」という須磨さんに苦笑いをしながらも、寝転がったまま私たちは敬語を使わない話し方の練習をし始めた。
なんだか凄く凄く新鮮で、でも…初めて"友達"になれたような感覚になって嬉しくて、泣きそうになってしまう。
「ほの花さんは遠慮しいだから敬語使ったらお仕置きをすることにする!」
「え…?お、お仕置きです、…お仕置き、嫌だなぁ…」
「今のは無しにしてあげるね。そうだなぁ…、敬語使ったら私とお散歩行くの!天元様じゃなくて!」
「あはは…わ、私はいいけど…」
そう、私はいいけどその場合、宇髄さんがなんというか…
「それなら須磨さんがちゃんと説得してね…?」
「あぁあ!そっかぁ…!天元様煩そうだもんねぇ。」
そんな他愛もない会話を寝転がったまま続けていると、急に開かれた襖の先にいた人物に二人共が視線を向けた。
「……お前ら、何してんの?」
「あー、天元様!ほの花さんとお話してたんです〜。ねー?」
「あ、う、うん。そうです。」
「はぁ?ほの花顔真っ赤じゃねぇか。須磨、無理させんなって。」
そう言うと真っ直ぐに私のところに来て、額に手を添えて熱の確認をしてくれるのだが、それでは須磨さんが私に無理強いしたようではないか。
慌てて宇髄さんの腕を掴み、否定の言葉を探した。
「違うんです…!須磨さんは私の話を聞いてくれただけで!」
「そうですよぉ〜!私とほの花さんは仲良しなんです!今日から敬語も使わないことに決めたんです!」
「……はぁ?!何で?!」
しかし、宇髄さんが食いついたのは思いの外違うものだった。
「何で須磨に先に敬語無しにすんだよ!俺が先だろ?!」
「……へ?」
「やだぁ〜、やきもち妬かないで下さいよ〜!もう二人とも嫉妬し合っちゃって仲良いですねぇ!」
「す、須磨さん…?!」
もう状況的には誰に何を怒っているのか全く分からない。
ただそこに流れる空気はまるで家族のようだと思った。
今まで感じたことはないと思う。
だってその様子が待ち望んだことなのは私の心がそう言っているから。