第39章 陽だまりの先へ(終)※
熱が出ているのはわかっている。
でも、それとは別の熱が顔に溜まっていくのも分かる。
「え、へ…、や、やきもち…」
「そう!ヤキモチですよぉ〜!天元様に女性のお知り合いがいて、モヤモヤしちゃったんですね〜?可愛いですぅ〜!!」
「あ、え、…そ、そんなこと…!」
"ない"と言えるだろうか?
だって、いま須磨さんにはっきり言われて妙にストンと腑に落ちたような気分にもなったのだ。
自分の心が丸裸になっていく感覚が恥ずかしくて顔で手を覆った。
「……そうなんでしょうか…。いや、そ、う、かもしれません…」
「そうですよぉ〜!天元様とその人が自分が知らない話をしていて嫌だったんですよね?ふふ!よしよし〜。大丈夫です!天元様はほの花さんしか興味ないですよ〜」
もう須磨さんの全ての言葉が当てはまっているようにしか思えなくて私は耳まで熱くなってしまった。
「…ううう…、は、はずかしいです…!こんなことで…ヤキモチ、妬いちゃうなんて…」
「何でですかぁ?天元様のことを好きなら当然ですよ〜!私だって大進様が町で他の女性と話してたらヤキモチ妬いちゃいます!!拗ねてやります!!」
「なっ!そんなことしたら私が大進を怒ってあげますから!安心してください!」
──グラッ
大きな声でそう意気込んだのに体が熱発していたことをうっかり忘れていて勢いよく顔を上げた瞬間、視界が揺れた。
「ああ、ほの花さん…!」
須磨さんが受け止めてくれたけど、体勢を崩した彼女が布団になだれ込んできて二人で寝転がってしまった。
ふかふかの布団の上で目が合えば、どちらかともなく笑ってしまっていた。
「ふふ、あははは…」
「もう〜!大丈夫ですかぁ?でも、ありがとうございます。大進様がそんなことしたらほの花さんに言いつけにいきますね!」
「待ってます。お任せください!」
「あの〜、ずっと気になってたんですけど、おねだりしてもいいですか?」
寝転がったまま須磨さんが私と視線を合わせて可愛い顔をしてそんなことを言うものだから、すぐに頷いてみせた。
「歳も近いわけだし、敬語やめて下さいよぉ〜。私もやめますから。」
照れたようにそう言ってくれる須磨さんに私は胸が締め付けられるほど嬉しいと感じた。