第2章 興味本位
お館様の話は今の鬼舞辻無惨の動向と現在の鬼殺隊の状況について、共有しあえることを全て共有し、足並みを揃えると会議は終了となった。
その間、ちんぷんかんぷんと言った様子で俺たちの話をその場で聞いているほの花は神妙な面持ちだ。邪魔をしないように息すら潜めるその姿に呼吸が止まりやしないか心配になる。
おかげでそんな気もそぞろな自分をお館様に見抜かれてしまったようだ。こちらを見るとにこりと微笑んで手招きをした。
「天元、ちょっといいかな。」
「…はい。」
その傍らにはほの花という女が困惑気味にこちらを見ていた。俺が目の前で跪き頭を垂れると顔を上げるよう促された。
「天元は継子はいなかったよね?」
「??はい。」
「それならほの花をお願いできるかな?」
「……………はい?!」
それは雷に打たれたような衝撃。確かにほの花の様子が気になっていた。それは先ほど介抱していた女だったからで深い意味はない…と思う。
それなのにお館様にいきなり目の前の女を継子にするように提案されて思わず大きな声が出てしまった。
「いや、別に継子でなくてもいいんだけどね。呼吸はいいから彼女に実戦での戦い方を教えてあげて欲しいんだ。」
それを継子と呼ばずして何と呼ぶ。お館様はニコニコとしているだけなのに反論する隙がない。
曖昧な相槌を打つだけで精一杯だが、嫌だと言うわけではない。ただ困惑しているだけ。
それすらも全て見破られているようなふわふわとした高揚感の中、お館様は言葉を紡いでいく。
「薬の調合ももちろん彼女にお願いしたいんだけど、ここにいる以上鬼に遭遇する確率は高くなると思うんだ。どうやら初めて会ったわけではなさそうだし、頼まれてくれるとありがたいな。」
「……御意」
これは命令ではないと心得ているが、断れる奴がいたら見てみたい。
それほどまでに彼の前では断る術などここにいる"柱"ならば誰しも持ち合わせていないはずだ。