第39章 陽だまりの先へ(終)※
翌日、宇髄さんは甘味を食べに行く前に町を案内してくれた。
目が覚めてから私はずっと家の中で寝ていることが多くて、賑やかな活気付くその様子に胸が躍る。
散歩には宇髄さんが連れて行ってくれていたが川沿いや山など自然が多いところに連れて行ってくれていたので町の方面に来たのは初めてのこと。
キョロキョロと見渡すと田舎者丸出しなのだが、ついついあたりを興味深げに見てしまう。
すると、一軒のお店が目に止まった。
(…小間物屋さん…?)
"私"は行ったことがない。でも、どことなく見覚えがある気がするのは昔の私が行ったことがあるのだろう。
気付かないうちにそのお店に釘付けになっていたのか隣にいた宇髄さんが声をかけてきた。
「何か気になる店でもあったか?」
「あ…いえ、気になる…というか…、あのお店…私来たことありますか?何か見覚えがある気がして…」
「ん?……ああ!あそこな。行ったことあるぜ?入ってみるか。」
「え、いや、別に…!宇髄さぁん!!」
ただ聞いただけなのに問答無用で腕を引っ張られて連れていかれるのはその小間物屋さん。
ズンズンと彼の歩みは止まることなく、そのお店の扉を開けるとそこまで広くはない店内だけど、其処彼処に並ぶ雑貨に目を奪われた。
里にはない煌びやかな装飾品や置物、絵画なんかもあってその今度は店内に釘付けになる。
ボーッと店内を見回していると私の後ろで会話が始まったので振り向いた。
「おや、宇髄さんじゃないか。」
「よ!しばらく!」
「ああ、やっと奥さんを連れてきてくれたんだね。良いものも入ってるから見て行ってくれよ。」
「まぁ、まだ婚約者だけどな。」
その様子にいつの間に婚約者になったのだろうか?という疑問も浮かぶが、心は正直なもので口元が勝手に緩んでしまう。
宇髄さんの話していた相手は店主の方のようですぐに会釈をすると、中から品物を持ってきてくれた。
「妻が買い付けたものなんだ。お嬢さんの気にいる物があるといいんだけど。」
「え…?!」
「お、良いじゃん。ほの花どれがいい?」
「ええ?!」
私の心は忙しない。
いつの間に私は此処で何かを買うことになったのだろうか?
でも、出された品物は目を奪われるような素敵なものばかりで二人の視線に耐えながらそれを見始めた。