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陽だまりの先へ【鬼滅の刃/音夢💎】R指定有

第39章 陽だまりの先へ(終)※






──トクントクン


先ほどの雛鶴さんの心音よりも大きくて存在感のある音。
宇髄さんの胸はとても広くて優しくあたたかい。


この温もりを私は知っている。
体が覚えている。だからこんなにも気持ちが穏やかになっていくんだ。
自分の鼓動も彼のそれに合わせるかのように重なり合っていくようにすら感じた。


「…ちっとも来ねぇなって思ってたら泣き声聴こえて来たからよ。また何か気に病んでんのかと思って様子見てたら思いもしなかったこと言うじゃねぇかよ。」

「や…え、と…すみません…」

「あー、謝んな。謝ったら間違ってるみてぇじゃねぇか!俺、そのまま受け取っちまうけどいいか?」



宇髄さんの心臓が一際大きくドクンと跳ねて、早く打ち続ける。
彼もまた私と一緒なのかもしれない。
好きにさせると言ってくれてはいたけど、人の心なんて分からないもの。

私が本当に自分のことを好きになるのか多少なりとも不安が…あるのかもしれない。


ちゃんと伝えないと。
言葉にしなければ伝わらないこともある。
私は呼吸を落ち着かせて、少しだけ体を離した。


「宇髄さんのこと…まだ思い出せてないんです。」

「…ん、知ってる。」

「でも…、体が覚えてるみたいで…そばにいるとドキドキします。」

「……そうか。」

「心もそれに引き寄せられるように少しずつ宇髄さんに向いていってて…、いま、抱きしめられて…凄く……嬉しかった…です。」


駄目だ、これじゃちゃんと伝わらない。
伝えないと。
怖がったら駄目。

宇髄さんは待っていてくれてる。
私の言葉の、その先を。

震える喉に空気が入ると唇が震える。
それでも宇髄さんを見上げてみると優しい顔がそこにある。


「…私、…宇髄さんの、こと…好きに、なってもいいですか?」



生まれて初めて自分からした告白は何とも情けないものだけど、これでも自分なりに一生懸命したこと。
だけど言葉にしてしまうと恥ずかしくなってきて、目を彷徨わせてしまった。


しかし、宇髄さんは何も発しないまま私の腰をガッチリと引き寄せてきたので、驚いて再び彼の顔を見ようと目線を上げた。


すると、突如目の前にあったのは宇髄さんの綺麗な顔。唇には暖かい温度。


それが何なのかと言うことを理解したのは唇が離れた後のこと。
宇髄さんは照れたように笑っていた。

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