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陽だまりの先へ【鬼滅の刃/音夢💎】R指定有

第39章 陽だまりの先へ(終)※






「はい!出来上がり!やっぱりほの花さんって化粧映えしますね。素敵!凄く綺麗。」


「ありがとうございます!雛鶴さん。」


涙が止まるまで待っていてくれた雛鶴さんは急いで白粉を塗って、化粧を施してくれると着付けも手伝ってくれた。

久しぶりにちゃんとした着物を着たので背筋がシャンとする。
鏡に映る自分は雛鶴さんのお陰でいつもの寝癖ボサボサの自分とはかけ離れている。


(…宇髄さん、可愛いって言ってくれる、かな。)


脳裏に浮かぶのは宇髄さんの顔。

毎日朝起きると私の部屋に顔を出してくれて「体調はどうだ?」と聞いてくれる宇髄さん。
外の掃き掃除の時はいつも終わると迎えに来てくれる宇髄さん。
少しでも疲れた顔をしているとすぐに気づいてくれて布団に連れて行ってくれる宇髄さん。
寝る前に私の頬を一度撫でてから頭にぽんと触れて「おやすみ」と言ってくれる宇髄さん。


「…宇髄さんは…、私が好きになるまで待ってくれるって言ってくれたんです。」


「ふふ。当然ですよ。天元様からしたらほの花さんの代わりはいませんから。寝ても覚めてもほの花さんのことばかり考えてますよ。」


「記憶がないのに良いのかな…って思ってたのに…"それってそんな重要なのか?"って…」


"目の前にいるのはほの花じゃないのか?"って聞かれたとき、目から鱗だった。
私であって私ではないと思っていたのは私だけ。
"私でしかない"と言ってくれてる宇髄さんは神楽ほの花という人間そのものを愛してくれているのだ。


「…雛鶴さん…、私でも…いいんですかね?宇髄さんを思い出してないのに…好きになってもいいんでしょうか?」


「良いに決まってんだろ。」


バタン──


突然の聴き覚えのある声と共に開かれた襖に驚いて振り向くと、そこにいたのはもちろん宇髄さん。

それを見て雛鶴さんが微笑みながら開け放たれた襖から出て行くのを見送ると、宇髄さんが近づいて来た。
その顔は見たことないほど嬉しそうにくしゃりと笑い、私は目を逸らすこともできずに固まった。


大きな手が私の手を掴み、グイッと引き寄せられて広い胸にすっぽりと収まると私はその安心感に目を細めた。



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