第39章 陽だまりの先へ(終)※
宇髄さんと別れて雛鶴さんに連れて行かれたのは彼女の部屋。
中に入れば女性らしい匂いがふわりと香ってその艶っぽい香りが雛鶴さんらしくてドキドキした。
「やっと日中にほの花さんとお話できます。ずーっと天元様が独り占めしてらっしゃって不満だったんですよ。」
「え…?!そ、そうなんですか?すみません…!言ってくだされば…!」
「私だけじゃなくてまきをも須磨も思ってましたよ。私たちよく一緒にお風呂に入っていたんです。そろそろお風呂も入りませんか?」
それは願ってもいない申し出だった。
毎日毎日雛鶴さん達の誰かが私の体を清拭してくれて髪も部屋で洗ってくれていた。
お風呂に浸かるのは体力を消耗するからもう少し体力が回復してからと言われて部屋でいつもお世話してくれていたのだ。
でも、手間もかかるし、できればそろそろお風呂にも入りたいと思っていたのだけど、宇髄さんが風呂で倒れたらどうするんだと心配してくれるので、一緒に入ってくれるなら渡りに船というもの。
「い、いいんですか?入りたいです…!」
「じゃあ今日の夜は私と…あ、いえ、須磨が怒るかもしれないからこちらで平等に決めておきますね。ふふ。」
雛鶴さんは私を鏡台の前に座らせると目の前には煌びやかなお化粧品の数々。
私も年頃なのだから…それなりには化粧はするけど、顔が西洋の顔立ちだし、背丈も高いから余計に悪目立ちしそうで怖くて身だしなみ程度しかしたことない。
でも、雛鶴さんもまきをさんも須磨さんもとても綺麗にお化粧していて、それがとても品があっていつも「綺麗だな…」と思っていたからその化粧品を目にすると心が躍った。
「ほの花さん、あまりよそゆきの着物はないようなので今度天元様に買ってもらうといいですよ。今日はお化粧だけさせてもらうのでお部屋にある着物の着付けを手伝いますね。私のだと丈が足りないかもしれないので…」
「あ…す、すみません…デカくて…」
「え?何でですか?スラッとしてて女性から見たら憧れの体系ですよ?」
「で、でも…男性からはあんまり、みたいで…」
それはずっとずっと私が抱いてきた劣等感を口に出してみると、雛鶴さんが後ろから優しく抱きしめてくれた。