第39章 陽だまりの先へ(終)※
少しずつだけど、宇髄さんに対して息苦しいような感情が芽生えている。
髪くらいでこんなに愛おしそうにしてくれる彼のことを好きになりかけているのだろうか?
それとも応えられないから苦しいのだろうか?
でも、彼に見つめられると頬が熱くなる。
熱い視線に目を離せなくて、息が止まりそうになるのだ。
「それによ、お前が首出してんの地味に嫌なんだよなぁ…。」
至近距離でそんなことを言われてしまうと口をぱくぱくさせて金魚みたいに彼を見ることしかできない。
「な、何で…ですか?」
「この首を他の男が見るかと思うと死ぬほど腹立つ。」
だけど、その言葉の意味はよくわからない。
恐らく…これは嫉妬してくれてるのだと言うことは分かるので少しだけ擽ったい感情だ。
「首…、ですよね?え?」
「綺麗じゃん、白くて細くて…めちゃくちゃに口付けたくなる。」
「なっ?!へ…?!」
今の私からしたらそんな言葉は恥ずかしくて聞いていられない。きっと…この様子だと私は宇髄さんとまぐわいをしたことがあって、もう生娘では、ないと思うんだけど…。
"今の私"の精神は生娘のまま。
色がふんだんに使われた言葉は恥ずかしくてたまらないのだ。
「本当ならこの白い首に噛み付いて俺の印をつけてやりてぇとこなんだけどよ…、仕方ねぇから我慢しとく。」
「な、!や、え…!?」
「真っ赤な顔して狼狽えんなよ。クソ可愛くて押し倒したくなるだけだぞ。」
一体どうしたらいいのか全くわからず首を手で隠して唇を噛み締めることしかできない。
嫌なのか?そう聞かれたらすぐに首を振って否定するだろう。
でも、兎に角恥ずかしくてどう返したらいいのか分からないのだ。
「…はぁ…、ちょっと、欲が止まらねぇから厠行ってくるわ…」
「え??か、厠、ですか?」
急に厠に行くと言う宇髄さんは体を丸めながら立ち上がると、私を見て優しく頭を撫でてくれる。
「早く俺のこと好きになれよな。今日のところは厠で我慢しておくぜ…」
「え?お腹痛いんですか?痛み止めいります?」
「いらねぇわ!!放っておけ、鈍感女!!」
「えぇ…?」
体を丸めている宇髄さんに腹痛が起こったのかと思って心配したのに何故か怒られてしまったことに首を傾げるしかなかった。