第39章 陽だまりの先へ(終)※
「戦いの最中に切られて無くなってたんですか?」
あまりに残念そうに髪に触れるので宇髄さんにそう聞いてみると、少し考えた後、首を傾げた。
「うーん、わかんねぇんだよなぁ…。でも、俺の腕を治してくれた時にそこに髪が散らばってたのは覚えてるんだけどよ、其処では切られてないと思うんだよな。」
それを聞いて私は何となく察しがついた。
自分のことだ。
自分であればそう考えるような気がした。
私だって半信半疑だし、効果があるのかは分からないが、瞬間的にそれを考えたのだから間違いないのではないか?
証拠になるかは分からないけど首回りの傷はない。
髪だけが無くなっていて、宇髄さんの腕を治した時に散らばっていた。
ということは…
「…多分、ですけど…"私"は自分で切ったんではないでしょうか?」
「はぁ?何で?!俺のお気に入りを?!」
信じられないと言う表情をむけてくるけど、私はそれが一番しっくりくる。
鬼と対峙していて髪だけ切り落とされることの方が不思議だからだ。
「ひょっとして…宇髄さんの斬り落とされた腕は"私"がもっていたんじゃないですか?」
「ん…?あー…ああ。多分、な…」
「…であれば…、やはりそうじゃないかと思います。効力があるのか分かりませんが、切断された腕はどんどん細胞が死滅していきます。それを食い止めるために髪を切って巻き付けていたんじゃないでしょうか?」
それは確信に近い。
治癒能力がある私。死滅した腕に治癒能力を使い続けたまま持ち運んだらその前に自分が生き絶える可能性がある。
それならば咄嗟に考えるとしたら髪は自分の体の一部なのだから少しはその効力があるのではないか?と考えたような気がする。
「…何のために?」
「治癒能力の代わりに髪の効力に賭けたんではないでしょうか?少しでも治癒能力が宿っていれば宇髄さんの切断された腕は細胞が死滅せずに持ち運べます。あくまで可能性ですが…」
「…なるほど、ねぇ…。ほの花が言うんだからそうかもな…?じゃあよ、ありがとな?ほの花。」
そう言って短くなった髪に口づけをしてくれた宇髄さんに私は顔が熱くなった。
それが熱のせいなのか、宇髄さんの行動のせいなのか?考えなくてもわかる。