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陽だまりの先へ【鬼滅の刃/音夢💎】R指定有

第39章 陽だまりの先へ(終)※





ほの花の体は無理はできないが、緩やかに体力は戻りつつあった。
日常に戻ることがこんなに難しいことだとは思いもしなかったけど、ほの花は思い通りに動けない体を受け入れて、少しずつ今が日常なのだと納得している気がした。


煉獄さんが来た日から数日後、掃き掃除が再び板につきだした頃、ほの花が玄関からぼーっと外を見つめていることに気づいた。


道行く人に視線を奪われて遠くの方を見つめるその様を見て、あることに気づく。
今のほの花はこの辺のことを知らないのだと言うことを。


この屋敷だけしか知らないけど、無理ができない体なだけに外出させたことはなかった。
煉獄さんが来た翌日に本当ならば甘味を食べに行く予定だったが、熱を出したほの花に付き添い二人で留守番をした。


それから暫くは体を休めることに重きを置いていたのでほの花を外に連れて行ってやろうと言うことは思いもしなかった。


だが、知らない町に来て、記憶もなくて、知ってるところはこの屋敷だけなんてつまらないだろう。本当ならばもっともっといろんなところに出かけたりして、この街を探索したかったことだろう。
流石にそんなことは暫く無理そうだけど、一緒に行くならば少しくらい連れて行ってやってもいいだろうか。


俺自身手探りなのだ。
ほの花がどれくらいの無理が効かないのか分からないため、少しばかり過保護になりすぎていたかもしれない。
無理をして熱が出たにせよ、昔と違い、家で看病してやれるのだ。



「散歩でも行くか?」



箒を持ったまま外をボーっと見つめているほの花にそう伝えてやると花が咲いたような笑顔でこちらを見上げてきた。
余程行きたかったのだろうか。目を輝かせるその様子は少女のように無邪気だ。



「え…!い、いいんですか…?」


「おお、俺と一緒でいいんならな。」


「も、もちろんです!宇髄さんと一緒に行けるの…嬉しいです…!」


此処に来てから夜着か部屋の中で着る簡易的な着物しか着せてやっていないので、久しぶりに着飾ってやったらさぞかし可愛いだろう。


俺は掃除もそこそこにほの花の手を引くと元嫁達を呼んだ。

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