第39章 陽だまりの先へ(終)※
どうしよう…。
どこから突っ込めばいいんだろう?
宇髄さんは気を遣ってなのか…目が覚めてから私と恋仲だったことは一度も言ってくれていなかった。
だから今日瑠璃さんに聞くまで本当に知らなかったし、ただ『素敵な人だなぁ』と思うに留まっていた。
それなのに先ほど部屋に戻ってきた宇髄さんは私のことを"俺の女"と言ったり、あからさまに"嫉妬"の感情を露わにしてくれるので私の顔は熱くてたまらない。
こんな素敵な人が私のことを好きと言ってくれる奇跡のようなできごとがあるのかと半信半疑でしかないが、それはそれでとても嬉しい。
出て行けという瑠璃さんと出て行かずに話を聞かせろという宇髄さんの間に挟まれてどうしようかとその場で二人を交互に見ていたが、話しが堂々巡りしそうなので勇気を出して声をかけてみた。
「あ、あの…、は、はがねづかさんという方が瑠璃さんの良い人なんですか?」
「え?あー、そうそう。つい最近なんだけどね。まぁ、いいわ。どうせ出て行かないんでしょうからこのまま話すわ。アイツは二言目には刀のことばかりなのよ。腹立つわーー!」
「刀のこと?刀を作る人なんですか?」
刀のことばかりということは作る人か使う人…。でも、先ほどの会話から私の舞扇を作ってくれた人ならば消去法で作る人なのだろう。
しかし、その問いに答えたのは瑠璃さんではなく、ニッコニコ笑顔の宇髄さんだった。
「そーそー。お前、前にその里に救護活動行ってたんだよ。その時に鋼鐡塚に会ってんの。んで、ド派手に気に入られて帰ってきたんだけどよ、何だ、お前とくっついたんか!良かったじゃねぇか!」
「ねぇ、悪いけど此処にいていいからあんたは口挟まないでもらっていい?」
宇髄さんは苦言を呈されても尚、その笑みを絶やさずにいるし、その場からも動こうとしないので黙っていても此処にいたいという意思表示なのだろう。
そんな宇髄さんをみて溜息を吐くと瑠璃さんはそのまま話し始めた。
確かに女子同士の愚痴り合いに男性がいるのは些か可笑しな状況だが、口に手を当てて何も言いませんという強い意志を感じる宇髄さんに瑠璃さんは諦めの境地なのだと思う。