第39章 陽だまりの先へ(終)※
瑠璃さんの言葉はとても重く感じた。
彼女自身きっとさまざまな葛藤をして来たんだと思う。
私のこともちゃんと考えてくれて言ってくれてるのが伝わってくる。
「ありがとう、ございます。瑠璃さんのこと、私も姉のように慕っていたんだと思います。何だかそんな気がしてきました。」
「そう?だったら本当に手のかかる妹よ。」
「ふふ、ごめんなさい。」
瑠璃さんの笑顔を見るとホッとする。
私は本当に前から彼女に迷惑をかけてきたのだと思う。それでもこうやって心配して来てくれることが嬉しくて仕方ない。
「あ…!そうだ、あの、愚痴って…。」
「ああ、そうそう…」
瑠璃さんが何かを言いかけた途端にパシンッと開けられた襖と共に現れたのは宇髄さん。
こちらを見るなりに意気揚々と話しかけてくる様に私も瑠璃さんもキョトンと顔を向けた。
「おーい!客間整えて来たからよ、荷物置いてこいよ……って、あれ?何だよ…?俺、邪魔だった?」
「え…!いや、そんなことは…」
「すっごい邪魔。出て行ってくれない?今からほの花に愚痴を聞いてもらうとこなの。あんたは面白くないわよ。」
「はぁ?愚痴って…、なんの愚痴だよ?」
「あんたは名前も聞きたくない男の愚痴よ。」
宇髄さんが名前も聞きたくない男の人?
仲の悪い人がいるのか。
宇髄さんって人あたりが良さそうだし、そこまで人と仲悪くならなさそうだけど…。
でも、心当たりがあるようでないのか益々興味津々といった雰囲気の宇髄さんは瑠璃さんの横に陣取ると話の続きを待っている。
「名前も聞きたくない男?誰だよ、それ。お前の知り合いで?」
「鋼鐡塚蛍。」
「…………はぁ?!マジで聞きたくねぇ奴じゃねぇかよ!!」
(…はがねづかさん?)
名前に聞き覚えはないのだが、恐らく私は知っているのだろう。
知りもしない人の愚痴をわざわざ私に言う必要性もないし、瑠璃さんはきっと私に聞いて欲しかったからという理由もあって此処に来たのだろう。
だけど、どうやら宇髄さんとは馬が合わないのかあからさまに嫌そうな顔をして顔を引き攣らせるので、その様子を苦笑いしながら見ることしかできなかった。