第39章 陽だまりの先へ(終)※
宇髄さんは約束通り、翌日正宗たちを引き連れて来てくれた。
感覚的にはつい最近会ったような気分なのだが、実際には二ヶ月以上会っていないのだ。
さぞかし感動の再会になるかと思いきや、一緒に来たのが彼らだけでなかったことに私は驚きを隠せなかった。
「ほの花様!良かった…、お顔だけでも見られて安心しました。」
「体の調子は如何ですか?」
「しっかり食事が摂れるようになったら甘味でも食べに行きましょうね。」
三人の言葉は優しくてあたたかいものなのは間違い無いのだけど、その後ろにいる女性たちに目を奪われてしまい、頭に入ってこない。
(…誰かなぁ…?綺麗〜…)
すっかり惚けていて言葉を返せずにいると宇髄さんが「おーい。どうした?」と目の前でひらひらと手を振ってくれる。
「あ…!ご、ごめんなさい!綺麗なお姉さんがいたので見惚れてました!ごめんね、正宗、隆元、大進!え、と…久しぶり!」
「やだーー!!ほの花さんったら!照れますよぉ!!」
「へ、え…えと…」
「ちょっとあんた!突然いつもみたいに話しかけたら驚くでしょうが‼︎馬鹿なの?!」
三人の美女の内、大進の後ろにいた可愛らしい黒髪の方が随分と親しみやすく話しかけてくれたのだが、名前も覚えていない私は少しだけ狼狽えてしまう。
しかし、間髪入れずに隣にいた髪を結った女性が止めに入ってくれたことで話は続かなかったのだが、その代わり二人が喧嘩みたいな状態になってしまい、おろおろと目を彷徨わせる。
「あー気にすんな、ほの花。いつものことだからよ。隆元と大進が窘めるだろうから大丈夫だ。」
「あ、えと…は、はい。」
姿形は間違いなく、正宗たちなのに隣にいる女性たちに優しく接している姿は見慣れない。
奥様たちがいるのに…と一瞬よぎったが、そういえば里の人は全員亡くなったと宇髄さんが言っていた。
それにもう一年以上も前のことだ。
彼らに新しい恋人ができていてもおかしくないのだろう。