第8章 愛し君と…(※)
宇髄さんが私の体を舐め回していることくらいしか分からないけど、昂る感情についていけない。
胸の頂をちゅぱっと吸われて、もう片方を摘まれると何だか体の奥がキュッと熱くなっていく。
それが全身に広がっていくと怖くて彼の肩を思いきり掴んでしまう。
それでもそんな私を咎めることもせず「そのまま身を委ねろ」と言う宇髄さん。
彼がそう言うのであればそうしたい。
だけど、初めての感覚で体が勝手にそれから逃げようとしてしまう。
何かに追われているような焦燥感から、その焦燥感に捉まり、飲み込まれようとしている感覚に陥ると意識が一瞬弾け飛び、気付くと肩で息をしていた。
──何が起きたのか分からない。
でも、私の上で宇髄さんは凄く優しい顔で見下ろしていて、そのまま口づけをしてくれた。
全然動いていないのに背中には汗がぐっしょりと濡れている。
「…気持ち良かったか?」
宇髄さんにそう聞かれて、初めてあの感覚が気持ち良かったのだと気付く。
鍛錬をした後の脱力感なんか比べものにならないほどの力の入らなさに驚いているが、彼がそうさせてくれたということが恥ずかしいのと嬉しいのとぐちゃぐちゃに混ざり合っている。
「…わ、わかんな、い…ですけど、…」
「…けど?」
「なんか、しあわせ…です。」
「…もっと幸せにしてやるから。」
え、終わりじゃないの?
こんなに脱力感があるのに?涼しい顔をして再び私の体に口づけ始める彼に恐れ慄く。
彼の唇が触れたところが熱くて甘くて、先ほどの物凄い感覚を経験した後だからか少しの感触がいちいちビクついてしまうほど。
骨張った大きな手が胸から横腹を通り脚を摩られる。その手は私の大好きな優しい温もりがあるところ。
でも、今は私を悦ばせる術を知り尽くしている獰猛な獣のよう。
太腿からお尻を何度も往復させたかと思うと少しだけ脚を持ち上げて秘所に冷たい空気が通ったのがわかる。
「ぁ…や、…う、宇髄さ…!」
「大丈夫だから。怖いならまた俺に掴まってればいい。」
そう言われて掴まった肩は温かいけど、これから始まる未知の行為に不安で押しつぶされそうだった。