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陽だまりの先へ【鬼滅の刃/音夢💎】R指定有

第39章 陽だまりの先へ(終)※






「…治癒能力ですが、今後は一切使用しないことをお勧めします。」


それは端的だが、ほの花にとっても俺にとっても重い言葉だった。
胡蝶がこう言うと言うことはそれなりの理由があるからだ。


「今までのあなたの使用履歴とその反動を鑑みると今後暫くその負債を体で払っていかなければならないでしょう。」


「…わかりました。」


「ちょ、っと待て。話の腰を折って悪ぃけど、命に関わることじゃねぇんだよな?!」



俺の心配事項はほの花の体のことだけ。
生きてさえいてくれりゃ、記憶なんかなくたっていい。
だからほの花がその反動で死の危険性があるのであれば、流石に絶望しかない。



「宇髄さん、それは何とも言えません。ただ体調はここ一年くらいは安定しないとだけ言っておきます。」


「あ、安定しないって…」


「急に発熱したり、体調が悪くなったりすることがあるかもしれないと言うことです。その頻度などは誰もわかりません。だけど、ハッキリ言えることは使用記録を見ていてやはり此処数ヶ月の使用頻度は多過ぎました。」


それは俺も知らないことだったので止める術もなかったが、"今"は目の前にいるほの花だって知らないことだ。
いきなり目が覚めたら一年半後にいて、力の使い過ぎの反動を受けながら過ごさないといけないなんて最悪だろう。

それなのにほの花は妙に落ち着いていて、「わかりました」と淡々と胡蝶に伝えている。
動揺していても良いのにその顔は穏やかで、心音も落ち着いている。


「あの、宇髄さん。ありがとうございます。大丈夫です。」


「ほの花…」


「えと、胡蝶さん。何となく分かりました。自分で決めて使ったんだと思いますし、うまく付き合っていきます。ありがとうございます。」



未来の自分のしたことでも、自分は自分。
感覚的にほの花は能力を使った理由も肌感覚でわかっているのかもしれない。

清々しいというか、晴れ晴れとした顔のほの花に悲壮感はない。
むしろやりきったという顔をしているようにも見える。


ほの花が受け入れているならば俺がこれ以上言うことはできなかった。

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