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陽だまりの先へ【鬼滅の刃/音夢💎】R指定有

第39章 陽だまりの先へ(終)※





「ああ…左腕、何であるんだ?って思っただろ?何でだと思う?」


「…え…?え、えと…」


頭で必死に考えているようだったが、そんなこと分かるわけがない。
此処が何処かも分からない、今し方鬼のことを初めて知って、故郷が全滅したことを知らされたと言うのに。


しかし、ほの花は真面目な性格。
必死に失ったと言っていた左腕がある理由を考えているようでうんうん唸っている。


数秒の後、伝えようかと思ったが、先に声をあげたのはほの花だった。


「ひょっとして…」


「ん?」


「…私が…治しましたか?」


何故分かったのか分からない。
感覚的なものなのか、当てずっぽうなのか。
そのどちらでもないかもしれない。
でも、ほの花の瞳は真っ直ぐに俺を見据えていた。



「…ああ。正解だ。」


「やっぱり…。さっき宇髄さんが治癒能力の使い過ぎで…と仰ってたのでひょっとしてそうかな…?と思ったんです。戦線復帰できないということは完璧に治せなかったんですね…ごめんなさい。」



ああ、やっぱりお前はほの花だな。
ほの花でしかない。
お前ならそう言うと思っていた。

だけど、"ごめんなさい"じゃねぇ。



「謝ることはねぇ。そのせいでお前が生死の境を彷徨っちまった。俺の方こそそんなことさせて悪かった。」


「…え、そ、そんな…!きっと私が勝手にやったことですよね…!」



「そのせいで記憶まで失った。里のこと…家族のことも二度知って悲しませちまった。」



確かにほの花が勝手にやったこと。
それに関して怒りもあったし、ド派手に抱き潰してやりたい案件だが、目の前のほの花は知り得ないこと。

俺はほの花の記憶がないことに悲しみを抱くどころか、変なやる気が出ていた。ほの花に記憶を消された俺がお前を思い出したように、お前にも俺を思い出させてやろうと。


目の前の純粋無垢なほの花ともう一度始めればいい。

俺のことを覚えていようが覚えていまいが、もう二度と手放すことはない。

もう一度俺の女にするだけだ。

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