第38章 何度生まれ変わっても
「よぉ?目が覚めたのか。竈門。」
扉を開けたすぐ横に姿勢良く棒立ちしている竈門に声をかけるが、その顔は真っ赤に染まっていて、お子ちゃまには刺激が強かったか…と少しばかり反省をする。
「や、え、えと…!は、はい!昨日目が覚めまして…!宇髄さんとほの花が此処にいると聞いて…!!お、お邪魔してすみませんでした!」
「別に良いって。入れよ。ほの花はまだ目が覚めてねぇけどよ。」
ほの花の命を繋いでいるのは点滴から入れられる水分と栄養剤。
熱が下がったことで顔色もいいし、肌艶も良いが、眠ったまま動かない。
胡蝶も原因はわからないと言ってお手上げ状態だった。
でも、それでもよかった。
生きてさえいれば希望を持てるから。
おずおずと中に入ってくる竈門に椅子を勧めてやると「ありがとうございます」と言って座った。
「あの…ほの花は…、どうして…?」
同じ戦いの場にいてコイツら三人と俺は鬼と対峙していたのだから怪我をしているのは目に見えて分かることだが、確かに竈門の疑問は尤もなこと。
ほの花はあの日、医療班としての活動をしていたようなもの。ちゃんと戦ってはいない。
それなのに何故生死を彷徨っていたのか。
「俺の腕を治癒能力で治してくれてよ。その反動で心臓が止まった。」
「ち、治癒能力…?!」
「人には話すなよ。お前だから話した。お前は他人においそれと話したりしねぇだろ?」
それは共に戦って培った信頼でもあった。
俺は竈門を信じてるし、信じたからこそあの上弦に勝てたのだと思ってる。
「それって…陰陽師の力ってことですか?」
「正確には陰陽師一族神楽家の女児のみに受け継がれる能力らしい。その代わり滅多に産まれねぇんだと。女が」
「それを…あの鬼は怖がっていたんですか?血がどうのって…ずっと言ってましたよね?」
あの極限状態の中に聞いた言葉をよく覚えている男だ。
確かに妓夫太郎がほの花と対峙した時、血の話もしていた。
全てを理解するにはほの花の能力の話を全て話す他ないだろう。